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ニシンはふるさとの味=北海道協会=初のパラナ北海道祭り=400人が郷土食に舌鼓=支部との交流盛り上げ

2006年4月18日(火)

 「十年ぶりに食べた。やっぱりニシンの味は格別だ」。谷口幸一さん(73)は移住して五十年間で、三回日本に帰国、そのおりに食べただけだった。ブラジル北海道協会(大橋皖吾会長)は初めての「パラナ州北海道祭り」を十四日、ロンドリーナ市のシャッカラ・グラシオーザで開催し、約四百人がニシン、イカ、ちゃんちゃん焼きなどの故郷の味を楽しんだ。これは将来をになう青年部の支部交流を促進するために行われたもの。サンパウロ市からはバス一台を借り切って、同協会青年部ひぐま会から二十五人らを中心とする約四十人が向かった。
 ジャ――。鮭の半身を鉄板に横たえ、その上からぶつ切り野菜をのせて、一気に火を通す。
 ガッ、ガッ。豪快に鮭をほぐしながら野菜と混ぜ、味噌で味付けすると漁師料理「ちゃんちゃん焼き」のできあがりだ。
 北パラナで五年間パークゴルフの普及に尽力した谷川悟さん(北海道河東郡在住)も、五月十八日までの二カ月間滞在中。この日も先頭きって鉄板の前に立ち、本場の味を再現する。
 ニシン二百尾、イカ二百杯を積みこんだバスは、十三日夜十時過ぎにサンパウロ市の北海道協会会館を出発。翌十四日午前十時から、両親が北海道出身の二世実業家、吉井篤さんが提供するシャッカラ・グラシオーザで地元勢と合流した。
 当日は、サンパウロ州バストス市、近隣のアサイ、遠くはフォス・ド・イグアスからも出身者が集まった。
 司会した谷川さんは「北海道出身者が何回も会議をかさね、誇りを持って手探りで準備してきました」とあいさつ。
 同地を代表して、沼田信一さん(88)が「これを機会に毎年やれれば。ロンドリーナでも昔のように活発な活動にもどりたい」との抱負を語った。
 地元若者による一心太鼓が披露され、本部を代表して木下利雄理事は「これを機に地方と本部の交流を深めたい、とくに若者をよろしく」とお願いした。
 青年部の友谷セルジオ会長(37)も、道費研修生は日本で顔を合わせても帰伯するとそれっきりという場合が多かったと前置きし、「これを機会に横のつながりを深めたい」と笑顔をうかべた。
 昼食にはアラ汁、ちゃんちゃん焼き、ヤキソバ、刺身などのセットが振舞われ、長蛇の列ができた。ニシンは祭り前にパラナ側で予約完売、イカ焼きも売り出され、ほぼ売り切れた。
 車で二時間半かけてバストスから駆けつけた十二人の一人、鶴勝さん(65)。昨年、一昨年とニシンを食べにサンパウロ市の本部まで行った。「ニシンは北海道人にとって特別な味。来年は、ぜひバストスでやってほしい」と要望した。
 約七十キロはなれたプリメイロ・デ・マイオ市からきたファゼンデイロ、谷口幸一さんは、十年ぶりにたべたニシンに「うまかった」と一言。さらにお土産に二尾買った。「家族も楽しみに待ってるから。もって帰んなかったら面目丸つぶれ」と破顔一笑した。
 北パラナに入植した北海道出身者は四十家族余り。沼田さんは、「こんなに集まるなんてびっくりした」という。同地の二世、父親が北海道出身の桜井勇一さん(61)も「こんな交流がもっとあったらいいですね」と喜んでいた。
 地元のグルッポ・サンセイによるYOSAKOIソーランも披露され、一堂は午後四時ごろまでビンゴなどを楽しみ、ゆったりと過ごした。