2006年4月25日(火)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十四日】国際開発復興銀行(IBRD=世銀)のウオルフウイッツ総裁は二十三日、汚職国家からブラジルを外し、生活扶助制度などの貧困撲滅に努める政府の活動を評価する見解を発表した。世銀は汚職撲滅のために「新十字軍」構想を打ち上げ、汚職というガン細胞に冒された国へは一〇億ドルに上る開発融資を中止する意向という。検事総長の汚職告発に世銀が言及しなかったことで、会計検査院(TCU)はブラジルの金庫室が鍵を壊されたのに、そのままになっていると述べた。最近の汚職は手口が巧妙になり、法律に基づく立件が困難になったという。
世銀が挑む汚職撲滅「新十字軍」の矛先からブラジルは逃れ、開発のための一〇億ドル融資対象国入りした。ブラジルの歴史では未曾有の大規模な裏金汚職が摘発・立件されたが、世銀は取り上げなかった。
世銀の定期総会に臨んだ総裁は、四十人の容疑者を起訴した検事総長の起訴に関する質問で、ブラジルから汚職の報告は入っておらず、生活扶助金が好評であるという情報が寄せられたと応えた。世銀は、一部議員の収賄疑惑を政府の活動から切り離して評価を行うと総裁が説明した。
汚職が政府機関全般にガン細胞となって国家を冒し、世銀の融資金が開発援助にならない貧困国を世銀は汚職国家と呼ぶ。ブラジルはそこそこの財政黒字を生み出し、債務利子の決済も順調に行っており、汚職国家の枠には入らないというのだ。
世銀は二十三日、貧困十七カ国向け三七〇億ドルの融資を中止すると発表した。スノー米財務長官が、先進国へ際限のない借金棒引きを警告したことに応えたもの。極貧国といえども約束が守れない国には、援助の蛇口を閉め、自助努力の道を採るよう要求した。労働意欲のない無気力な底辺の人々への生活扶助金も、問題になるらしい。
ブラジルは汚職国家の汚名から免れたものの、汚職体質が解決されたわけではない。TCUは最近の汚職システムが、公共工事から公共サービスへ移動し、立件をスレスレで逃れ、巧妙になったと訴えた。
組織化された汚職グループは、司法官から官憲当局、弁護士、汚職ノウハウの専門家で構成される大企業である。それが政府機関や政治家と結託する。システムが容易に入れそうな政府機関の弱点を常に探している。公金横領の手口は、無限にあるという。
汚職に対する刑は軽微で、失われた公金は回収されたことがない。汚職システムに熟知した裁判官は、皆無に等しい。裁判官は勉強不足なのだ。汚職システムを壊滅する体制がブラジルには存在しない。
TCUは、汚職対策の第一歩として法整備を上げる。郵便局CPI(議会調査委員会)でもビンゴCPIでも、欠陥法に何度ほぞを噛んだか分らない。ブラジルの法律は汚職に関しザル漏れ法だ。第二に、公共経費の監査機関強化がある。第三に内外部の経費コントロール機関を訓練すること。ブラジルには省庁間の連携がないのも盲点。