2006年4月25日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】年金支給総額の三四%を受給者の下位六〇%が受け取る一方、同じく三四%を上位一〇%が占めるといういびつな社会保障の構造が、経済調査院(Fipe)の調査で明らかとなった。
また、社会保障院(INSS)の年金受給者と公務員の年間平均支給額の差もほぼ五倍と大きいことも判明した。二〇〇四年の年金支給総額は二〇六一億レアル、年金受給者は二千六百万人で一人平均は七九三〇レアル。うちINSSの受給者は二千三百万人、支給総額一三〇二億レアルで一人平均は五六六〇レアルだったが、公務員の受給者は三百万人、支給総額七五九億で一人平均は二万五三〇〇レアルにも上った。
政府の社会保障費は年間で国内総生産(GDP)の約一二%と世界平均(五%)の二倍を超え、一人当たりの平均支給額は、教育や保健などへの支出とインフラ整備などに向けた投資の合計額(〇四年に三九九〇億レアル)を国民(一億八千二百万人)の数で割った平均二一九七レアルの三・六倍となった。
年金財政の赤字は四〇〇億レアル近くに達している。国民から徴収された社会保険料は社会保障費の五四%をカバーするに過ぎず、残り分は税金などで穴埋めされている。
年金受給開始年齢がINSSの受給者の場合定められていないこと(公務員は男性六十歳、女性五十五歳)、公務員の受給額が退職時の給与と同額であること、年金の多くが最低賃金の調整を適用されることなどが、年金財政の悪化理由として挙げられている。