2006年4月26日(水)
【ヴェージャ誌一九五二号】アリババと四十人の盗賊ならぬ「ルーラと四十人の盗賊」が、話題をにぎわしている。ソウザ検事総長は労働者党(PT)マフィアを摘発したが、ボスは雲の上だ。マフィアを組織したのは、国家権力に執着するための方法だという。検事総長の見方では、マフィアのボスがジルセウ前官房長官となっている。
ボスの下に、三十年寝食をともにしたルーラ・ファミリーが勢揃い。検事総長は、PTパズルでボスの上部席を空白にして置いた。この空白はルーラ大統領がスッポリはまるようになっているので、上部席の主は一目瞭然である。
大統領の名前を出さないのは、理由が状況証拠にすぎないためだ。第一は、告発を選挙にかこつけた野党のデッチ挙げとする説を葬るため。第二は、国家権力への執着で最大の受益者は大統領自身であることを示唆するため。第三は、組織の構築過程も側近らの行動認識も否定する大統領の詭弁を証明するため。
こんな詭弁が通用し大統領再選が可能ならば、専制政治に白紙委任状を渡すようなもの。コーロル元大統領とPCファリアの犯罪は、PTマフィアに比較したらコソ泥に過ぎない。
野党がインピーチメント(弾劾)を口にするようになっても、与党は弾劾示唆を線香花火と見くびり、単なる脅しと思っている。政界では満身創痍の大統領であるが、四〇%に上る国民の揺るがない支持票があることで強気である。
しかし、野党が根気よく国民の支持を得ながら気運を盛り上げるなら、事態は変わる。こうなると検察庁がインピーチメントの指揮を採る。検事総長の起訴は、国家に対する犯罪に急変する。パロッシ前財務相の辞任は元管理人の告発、程度で済まなくなる。
検事総長の起訴は捜査途中なので、まだ一部分に過ぎない。五月ごろには起訴第二弾が打ち上げられ、新事実が次々現れる。検察庁の発言は控え目で、クーニャ前下院議長が受け取った賄賂の実態を公表していない。検察庁には検討中の起訴が山とある。起訴の裏を取るため証拠を握る証人は、CPI(議会調査委員会)に喚問される。
起訴された関与者四十人に、十五日以内に抗弁せよという通知書が最高裁から届けられた。十五日後は最高裁が起訴の受理是非を検討するが、受理決定が下るのは二〇〇七年になる。
起訴決定や裁判、判決まで長時間がかかるが、最高裁の檻の中は居心地の悪いもの。公私生活の中で一挙手一投足に暗い影を落し、ある時は足かせになる。