カッポン・ボニートで豆腐の普及=材料はパ国イグアスー移住地の「オーロラ種」――担い手、ADESC支部員=市内の開業医も摂取すすめる
サンパウロ市の南西二百五十キロにあるカッポン・ボニート市で〃豆腐愛好者〃が徐々に増えて、今では月に四百丁ほどが売れている。作っているのはブラジル農協婦人部連合会(ADESC)カッポン・ボニート支部の部員たちだ。材料に使われている大豆は、オーロラというパラグァイの品種。JICA(国際協力機構)の専門家が永年かけて品種の固定化に成功したパ国政府認定第一号種(本紙二〇〇二年十二月十四日報道)で、遺伝子組換えでなく、タンパク質含有量が比較的高く、体にやさしい大豆、として知られている。
ADESCカッポン・ボニートの寺下さよ子支部長(旧姓・向田、広島県出身)の説明によると、豆腐作りを始めたのは三年前。最初は在来の大豆を使ったが、芽の部分にある黒い点が豆腐に残り、ネズミの糞のようだ、と消費者から敬遠された。そのような時に、部員の一人、須田雪代さん(旧姓・平松、愛知県)がオーロラを栽培していることを知った。
二〇〇三年にサンパウロで開催された第六回日本祭りにパ国イグアスー移住地の婦人部が参加した(本紙〇三年七月二十三日報道)。その時に移住地から持参したオーロラ大豆を須田さんが持ち帰り、栽培したのが縁の始まりだ。この大豆が材料なら豆腐に黒点が残らないし、味も良い。健康的でもある。豆腐に対する市民の関心が一気に高まった。
これに呼応して農協が市民(非日系市民)のために豆腐の効用と料理方法について講習会を企画したところ、一回に数十名が参加するほどの盛況となった。豆腐を通した日本食文化の普及が着実に進んでいる。
部員三十二名が交代で週二回、水曜日と土曜日、農協の炊事場で豆腐を作っている。できた豆腐は農協直営店とフェイラで販売されている。売行きは好調だ。一丁三レアルと価格も手ごろだ。偶然にも、四月二十二日(土曜日)の結婚式に出席するため、三千数百キロ離れたパラー州やリオ・グランデ・ド・ノルテ州から来ていた高倉道和夫妻、大谷正敏夫妻、伊藤範夫夫妻がこの豆腐の評判を聞き、農協直売店で作りたての豆腐を買って試食した。「歯ごたえと味わい、このような美味しい豆腐は初めて」と絶賛した。
市内の開業医も健康のために大豆の摂取を市民に勧めるようになってきており、豆腐が注目されている。醤油の消費も相対的に増えているようだ。
今年の一月、部員の一人、宮田千恵子さん(旧姓・木庭、鹿児島県)が、JICAの婦人リーダー研修で日本に行ってきた。日本で得てきたヒントで、去る二月二十一日、農協広場でFeira de Ruaという夜店を開いた。農協とADESC合同で行ったこの試みも好評だった。三月三十日の第二回フェイラは一層の盛り上がりを見せた。余勢をかって四月二十八日には第三回、五月二十六日には第四回フェイラをそれぞれ開催する計画だ。
豆腐、うどん、手巻き寿司などの自慢の手作り食品や果物が出店される。カッポン・ボニートの人口は約五万人。その中に約三百家族の日系社会がある。農協(組合長・エミリオ・ケンジ岡村)の組合員は約七十名。「豆腐のこと、フェイラのこと、いつでも農協に問い合わせください。Tel/Faxは0xx・15・3543・8300です」と、ルイス・カルロス参事は自信いっぱいで話している。
豆腐が招いた¬村おこし運動」の一例だ。ここでもADESC婦人たちの活躍が光っている。