2006年4月26日(水)
サンパウロ州マリリア市で、マリリア日系文化体育協会(笹崎コウゾウ・レオナルド会長)主催の「ジャパン・フェスチ」が、二十一日から日曜までの三日間開催された。周辺の町からも人が集まり、来場者は三日間で約六万人を数える盛況ぶりだった。会場はマリリア・ニッケイクラブの総合運動場で、百五十もの出展業者や日系団体らが協力した。フェスタは今年四回目を迎え、パウリスタ線を代表する日系社会関連イベントのひとつとして定着すると同時に、二世世代が中心となった日本文化祭りとして注目されている。
二十二日の午後四時からは、特設舞台で「フェスティバルタイコ」が開かれた。参加チームは地元マリリアの二チームをはじめロンドリーナ、バウルー、ピエダーデなど。和太鼓は各地の日系イベントの定番といえるが、ここでも人気が高い。出演者にとってはもちろん日頃の稽古の成果を見せる大事な場だ。
しかし、それだけではない。
太鼓歴三年、フェスタ二度目の出演となるハヤカワ・ユキオさん(バウルー)は、「いろいろな町で舞台にたつが、マリリアのようにたくさんチームが参加するところでは、太鼓仲間に会う楽しみがある」と話す。旧交を温める一方、今年から参加したチームの中に新しい友だちを探すのだという。
技量の高さに定評のあるマリリアチーム「響(ひびき)のタニグチ・マリさん、アレシャンドレさん、チアゴさんには、この日もうひとつの仕事があった。
JICA日系社会ボランティアの書道教師、森川奈美さんは「去年は展示だけで地味やった。ブラジルで書道に注目してもらうためには、派手に目立つことをやらなあかん」と和太鼓に合わせて書をかくパフォーマンスに初挑戦したのだ。
何かが始まりそうな気配に、会場のあちこちから人が集まりはじめた。そこへマリさんの太鼓の音が入ると、大判の紙が貼り出されたボードの前は一気に人だかりに。
目配せを合図に始まったパフォーマンスは見事に息が合い、太鼓のリズムと筆の運びが微妙に同調するなかで「いろはうた」「響」「龍」の三枚の作品が次々に書き上げられた。
約十分間のパフォーマンス中に光ったフラッシュの多さは、狙い通りの成果が得られた証しかと思われたが、森川さんは「夢中でお客さんの反応がまったくわからへんかった」という。四人は握手を交わし、観客の拍手に充実感あふれる笑顔で応えた。二日間で三回の出番をこなした。
一方、用意された東洋食コーナーの中でもアイスクリームのてんぷらは特に注目され、二十五日付け地元紙ジョルナル・ダ・マニャンによれば、二日間で四千食が売れたという。
歌手・平田ジョーのショーなど約五十ものアトラクションが準備され、訪れた人を楽しませた。当日は日系三世の人気セクシータレントのサトウ・サブリナも姿を現したほか、サンパウロ総領事館が貸し出した日本文化展示も評判を呼んだ。五百人がボランティアとして協力するなど、地元総出で祭りを支えた。
総合コーディネーターのミズノ・ケンイチさんは同紙に、「国際的なレベルのアトラクションになってきた。あとは農業関連の参加を充実させたい」と誇らしげに語った。