同船者会。数十日間同じ船に乗りあわせた人たちが、四十数年経った今も集う。不思議な集まりだと思う。
「今の若い人たちに分るかなあ」、先日訪れたあめりか丸の同船者会で、出席者の男性が話していた。
「みんな『移民』という同じ目的を持っていた。大学卒でも百姓の息子でも、ブラジルに着いたらみんなゼロからのスタートだったんだよ」。
今年で四十七年。ベレン、サントスから始まったそれぞれの人生を経て、この日の集いがある。同じ地点からスタートし、同じ歳月を過してきたからこそ通じるものがあるのだと思った。
この日の集まりには六十台後半の人の姿が目立った。渡伯したのは十八、九歳の頃だ。
その一人が話していた。「トランク一つと、布団袋くらいだった。それが今では家族が二十人になったよ」。(生)
06/04/26