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ルーラCPI申請を却下=上院議長が鶴の一声=調査の必要性認められない=大統領、ハルマゲドン回避

2006年4月27日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】カリェイロス上院議長は二十五日、ルーラCPI(議会調査委員会)設置申請を却下した。同CPIは別名「ハルマゲドンCPI」と呼ばれ、リーマ上議(ブラジル民主運動党=PMDB)から提出された。CPI申請は同意必要数を八人上回る上議三十五人の同意書が添付され、最後の牙城オカモト小・零細企業支援センター(Sebrae)総裁とルーラ大統領の関係にメスを入れるものであった。上院議長は、ルーラCPI設置申請は調査の対象があいまいで内容は散漫、本題との関連性が乏しく上院の内規に反し、審理の必要を認めないという理由で取り下げた。
 カリェイロス上院議長は、ルーラCPI申請を却下、政治危機回避作戦で功を立てた。労働者党(PT)の前女房役オカモト氏の疑惑関与は、闇の彼方へ葬られた。CPI設置に関する連邦令は、調査が本当に必要かどうか理由を求めるという。
 リーマ上議が調査を求めたオカモト氏の他、子息のファビオ・ルイス氏、ヴィエイラ州議、実弟ジェニヴァル氏、前管理人の口座違法開示に関する五件は調査の必要性がなく、裁判所の分野に属し、議会の役目ではないと議長はいう。司法と立法の役割分担の誤解だと判断した。
 リーマ上議は外遊中で不在。代わってエレーナ上議(自由社会党=PSOL)が申請書には調査の必要性が指摘してあると、議長の私的な越権行為に抗議した。しかし、野党議員らは却下を看過した。
 国会規定によれば、上下両院議長が議会調査委員会(CPI)を閉鎖できることが、場合によって認められている。CPIが断罪を前提として調査した場合などがその対象になる。その場合は最高裁に持ち込み、審理を続行する。
 どの政権でもCPIの存在はうとましい。CPIの調査が始まると、いつ果てるともわからず延々と続く。政府は政策審議の妨げになる。CPI設置は議員の三分の一が同意すれば申請できる。上院は二十七人、下院は百七十五人。申請内容は設置の必要性を明記し、期間を限定する。
 CPI設置阻止、または抜け道として二つの方法が政府にある。一は説得工作で、同意した議員の翻意を促す。二は闇討ち。議長を巻き込み、反抗する議員を罠にはめる。これを議会では特効薬と呼ぶ。普通CPIは、少数派が提議し多数派が操作する。
 結論からいうなら、上下両院とも議長がCPIに対し生殺与奪の権を持つ。議長はCPI設置申請書を受け取ると、連邦令の定めに従い受理の可否を判断する。この判断がミソなのだ。判断基準など議長の胸先三寸で決まる。議長の判断が不満なら、下院は本会議で不当性を訴える。上院は最高裁へ行く。
 議長の判断は、各党の政治力で決まるといってよい。道義も倫理もヘチマもない。郵便局CPIは、告発事実があいまいであるとしてウヤムヤに終わった。これまでも遺伝子組替えCPIやサッカーCPI、農地改革CPIが、告発事実があいまいかつ必要性が明白でないとして結局は却下された。