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ガスパイプライン=計画推進を再確認=伯、亜、ベネ3カ国=6年で完成、建設費250億$=「狂気の沙汰」とボリビア

2006年4月28日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】ブラジルとアルゼンチン、ベネズエラの三首脳は二十六日、サンパウロ市に集まり、三カ国とボリビアを結ぶガスパイプライン敷設の大プロジェクトを再確認した。ベネズエラにある南米最大のガス鉱床と、第二の埋蔵量を有するボリビアのガス鉱床を結び、アルゼンチンまでパイプラインを敷設、全域にガスを供給するためにはボリビアは最重要拠点であり、同国のプロジェクト参加は不可欠であると三首脳が声明を発表した。ボリビア鉱動省のゴーメス次官は、プロジェクトが雲をつかむような狂気の沙汰であると一蹴した。
 ペトロブラスがボリビアから撤退する意向を固めた直後の、三首脳によるガスパイプライン・プロジェクト敷設の再確認である。ブラジルとボリビアが天然ガスの開発を巡ってギクシャクしていることを、ベネズエラのチャベス大統領が懸念していた。
 ボリビアは三首脳会議に招待されたが、プロジェクトに反対の立場を採り欠席した。プロジェクトは六年計画で二五〇億ドルの費用が見積もられている。国際金融の参加も呼びかけるが、基本的にプロジェクト参加国が費用を負担する。海外の民間資本も、すでにプロジェクトへの参加を名乗り出ている。
 チャベス大統領は、プロジェクトが有意義かつ有望であり、資金的にも余裕があると強気である。天然ガスの供給価格は廉価だという。米国へ輸出すれば、btu当たり一五ドルになる。しかし、ブラジルへは一二ドルにする予定。この価格でブラジルが他国から天然ガスを入手することは不可能だとみている。
 心配なのはパイプラインの費用よりも、低迷する南米諸国の経済と社会情勢だと、同大統領はいう。費用だけの問題なら、サンパウロ市へ来るよりワシントンへ行く。経済問題だけを話し合うなら、米国のほうが能率的で立案も早いと、チャベス大統領は南米諸国の体質が水と油のような差があることを皮肉った。
 記者会見では、チャベス大統領が一人で喋りまくった。ガス埋蔵量はベネズエラだけでも一五〇兆立方メートルある。プロジェクトは工程の段取りと技術的問題を残して、七月か八月にはゴーサインを出せると述べた。九月にはブラジルに連絡本部を設置し、計画は動き出す。
 ベネズエラは、アンデス共同体(CAN)と事実上の離婚を報告。ボリビアもCAN脱退を表明した。ボリビアはさらにブラジルのEBX製鉄を接収し、ペトロブラスから原油を取り上げる意向も示した。
 ボリビアのゴーメス次官は、ガスパイプラインがアマゾン熱帯雨林を通過し、全長九二〇〇キロに及ぶ万里の長城のようなものになるという。ボリビアはプロジェクト参加にやぶさかでないが、構想は十年後しか実体が見えない漠然としたものと評価した。パイプライン敷設費用が二五〇億ドルなのに、ガスの供給価格が千フイート立法当たり一ドルとは、どんな計算をしたか分らないと批判した。
 ベネズエラとボリビア、キューバの三国は二十九日、人民貿易協定(TCP)を締結する。米国が進める自由貿易協定による経済支配から、三国の生産者を守ることを誓った。農業不振にあえぐボリビアの大豆生産者から在庫を全部ベネズエラが買い上げるというのだ。