石油・ガス資源を国有化=ボリビア=陸軍、施設を占拠=外国企業は生産のみに従事=伯外相ら急きょ帰国
2006年5月3日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】モラレス・ボリビア大統領は一日、同国の石油・ガス資源と、採掘事業の国有化を宣言し、タリハ県にあるペトロブラス所有のガス採掘設備も接収した。ボリビア陸軍部隊が五十三カ所にある多国籍企業の石油設備を占拠する中「外国企業による略奪は終わった」と大統領が叫んだ。大統領の国有化宣言はコチャバンバとラパスで行われた。多国籍企業が生産のみを許され、操業権をはく奪される法令に大統領は署名した。ルーラ大統領は臨時閣議を招集し、ボリビア政府が引き起こした事態の状況分析を行う。世界貿易機関(WTO)ジュネーブ会議出席中のアモリン外相は、急きょ帰国の途に着いた。
モラレス大統領はメーデーの五月一日、同国にある石油ガス採掘事業の国有化を宣言し法令に署名した。同国タリハ県にあるペトロブラス操業のサンアルベルト採掘設備も、ボリビア陸軍によって宣言の一時間後に占拠された。
歴史上の意義ある待望の日が来たと大統領は宣言、ボリビアの尊厳である天然資源はボリビア人の手によって完全管理すると訴えた。ボリビアの尊厳を冒すなら、ボリビア国民にとって生き残りの手段である実力行使を以ってこれを守るという。
大統領はエル・アルトで予定していたメーデー式典を中止し、タリハのペトロブラス事業所へ立ち寄り形式的に接収の指揮を採った。関係者は同大統領の過激な行動に驚がくしている。接収令によれば、全ての多国籍企業が保有する株式の五一%を、ボリビア石油公団(YPFB)が保有するというのだ。
YPFBが原油採掘に携わる多国籍企業の経営権を握り、採掘から生産調整、出荷、価格操作まで経営管理を行う。接収令は、設備の損害補償については一切触れていない。多国籍企業は生産のみに従事し、YPFBから生産の一八%を支給される。
ボリビア政府は、生産の三二%を税金として徴収する。YPFBの取得分三二%とロイヤリティ一八%を今後の投資に応じて最高五〇%まで、多国籍企業へ配分するとしている。接収に関する再交渉のため一八〇日間の猶予を、ボリビア政府は与えた。合意に至らない多国籍企業は一八〇日後、撤退を命じる。
現実には、YPFBは丸腰で何も出来ない名前だけの公団である。設備を操業させ製品を生産する資金の手当ても融資の取り付けようもなく、軍隊を送り込んで強引に国有化を宣言しただけだ。生産の保障もなければ製品の出荷予定もないのが実状である。
ロンドー鉱山エネルギー相は、ボリビア政府が友好関係を無視し外交断絶にもつながりかねない行動に出たことを非難した。ワシントン訪問中のロウセフ官房長官は、ボリビア駐在のゴンサウベス伯大使から電話で連絡を受け、急きょ帰国の途に着いた。
外務省はこれまでもボリビア政府と接触を取っており、国家主権の順守など常識の範囲でことが進んでいた。寝耳に水の国有化宣言で大統領府が、今後のガス供給とペトロブラスが行った設備投資の行方について戸惑っている。最悪の事態を予想できなかったわけではないが、過激行動により生じる政治、外交、経済的結果が政府の関心事といえそうだ。