ブラジル国内ニュース(アーカイブ)
文明の衝突をどう克服?=ドイツ系企業が台湾企業に
2006年5月3日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三月二十七日】ブラジル・ジーメンスは二〇〇六年十月、携帯電話部門を台湾のBenQに売却した。ジーメンスの同部門社員は全員BenQへ移籍され、BenQ本社の指示に従うことになった。BenQは会議中スライドやコンピューターによる資料の公開を禁じた。グロバリゼーションとはこのようなものかと社員は驚いた。
社員らは長い間、ドイツ文化に接し、会議の進行方法や情報伝達の方法、資料の公開法、説明の順序、思考回路、判断基準、習慣と礼儀作法などドイツ方式であった。それが全て台湾方式に変わった。BenQ本社から代表が来て、面倒な手続きは一切無用、口頭報告でOK、即時即決、電光石火が社是という。
ドイツ文化から台湾文化への激変で、毎日の勤務では戸惑うことばかり。同社は副社長からボーイに至るまで、以心伝心と言外の理、孔孟思想、東洋哲学について台湾文化の訓練を受けた。異文化ショックは、BenQだけではない。
多国籍企業はこれまで、社内における異文化の接触と考えてきた。郷に入らば郷に従えと考えた。しかし、グロバリゼーションは異文化を企業戦略と考えさせる。まさに「文明の衝突」が国際市場で展開されている。
言語の相違もさることながら、個々の立場への配慮、投資家への対応、企業文化、創業の精神など東洋と西洋の差もある。台湾企業には、中国本土とどう向き合うかという配慮も会社経営の中にある。BenQの幹部社員は要するに、テーマの本質を探ることが基本であると気づいた。