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サンパウロ市=「皆が納得する百周年に」=自民党議員団が会見

2006年5月4日(木)

 先月三十日からブラジルを訪れていた自民党の衆議院議員団が、二日、帰国前にサンパウロ市内で会見した。
 このたび来伯した視察団は、奥野信亮議員を団長に、宮下一郎、山際大志郎、井上信治、薗浦健太郎の五衆議のほか、自民党総合政策研究所の研究員七人からなる十二人。
 一行はサンパウロ到着後、日系四団体(文協、援協、県連、アリアンサ)代表、ブラジル日本商工会議所関係者と懇談したほか、エタノール生成工場やインダイアツーバのトヨタ工場などを視察した。
 同議員団は三年前から毎年、中国、ロシア、インドの各国を訪問。今回のブラジルでBRICs四カ国を訪れたことになる。
 今回の訪問について奥野議員は、エタノールなど日伯両国の経済関係の現状や、将来にわたる技術協力の可能性について視察。また、百年が近付く日系社会について「日本の人が大変な苦労をしてブラジルに根を張ってきた、その努力と苦労を学んで帰ること」とその目的を説明した。
 一方で、文化摩擦や子弟の教育など様々な問題を抱える在日ブラジル人社会の現状にも憂慮を示した。
 また、橋本龍太郎元総理の退任以来会長不在が続いている日伯議員連盟の活動についても、「政府と議会を結び付ける存在」と位置付け、早期に新会長を選出し、活動を活発化していく意向を表明。「百周年に向け両国の関係を一層強固にしていきたい」と強調した。
 二〇〇八年の日本移民百周年および日伯交流年については、「日本移民の百年前からの努力に対する感謝の念を入れた百周年、皆に納得してもらえる百周年にしなければいけない」と考えを述べた。
 記者団からは、今年九月の自民党総裁選、十月のブラジル大統領選が両国関係に影響を及ぼす可能性について質問が上がった。これに対して宮下議員は、首相が交代しても日本の改革路線は変らないとした上で、対伯関係について「より良い関係を目指すスタンスは変らないと思う」と語った。ブラジル大統領選についても「二年後への機運が高まる中、新体制も対日関係を強化してくれると信じている」と述べた。
 また、この日の会見では、日伯議員連盟事務局長の河村建夫衆議が日本側座長をつとめる日伯二十一世紀協議会の第二回会合が今年七月に東京で開かれ、八月をめどに両国首脳に提言書が出される見通しであることが明らかにされた。
 出席した各議員からは「ブラジルはまだ発展の余地がある国。両国は相互に手伝える関係だと思う」(薗浦議員)、「日本人、日系人が農業や商工業の分野でともにブラジルを作ってきた。これからも環境や工業、貿易など各分野でより良い関係を作れる可能性を感じた」(宮下議員)、「地球の反対側に同胞がいることを実感した。特に環境問題は、皆の問題として手を携えていきたい」(山際議員)、「日伯の政治、経済関係はまだ弱いと思う。今回の成果を帰国後に結び付け、百周年にはできるだけ多くの議員とともにブラジルを訪れたい」(井上議員)など、それぞれの感想が述べられた。