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10年で貧富の格差縮小=農村地帯の所得向上顕著

2006年5月5日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】ブラジル国民の貧富の格差は、一九八一年から一九八九年の八〇年代には急激に拡大したが、二〇〇四年では未だ充分と言えないまでも差を縮めた。
 世銀が各国の国勢調査を基に分析するもので、格差ゼロから最高一・〇まで指数をランクづけしている。それによるとブラジルでは一九八一年は指数が〇・五七四だったのが、一九八九年には一気に〇・六二五に上昇した。それが二〇〇四年には〇・五六四へと下げた。
 世銀のアナリストによると、貧富格差撲滅に関して八〇年代はブラジルにとって〃失われた時間〃で、ハイパーインフレに見舞われ、所得格差に歯止めがかからなかった時代だと指摘する。つまりインフレを利用して金持ちがさらに裕福になる時代だった。この時点での世界ランキングではセアラ・レオーネ(〇・六二九)に次ぐワースト二位だった。〇四年に回復したことで、ようやく下から十位に位置づけた。
 格差の縮小は実質一九九三年から始まった。九三年から〇四年まで一三%の減少を見せたが、その内訳は学歴者と非学歴者の所得格差の減少が五・三ポイント、人種差別が三ポイント、農村地帯と都市圏が三ポイントとなっている。学歴格差には白人と黒人の差別も含まれている。
 格差の縮小が未だ十分と言えないと同時に貧困層の撲滅も今一つと言える。貧困家族手当(ボルサ・ファミリア)は八一年に二九・六%を占めたが、〇四年には二二・二%となり二五%の減少となった。しかし、タイの場合は貧困が六二%から一九七五年には四一・八%へ、一九九二年には一五・七%へと減少した。インドネシアでは八二%から一九七五年には六四・三%、一九九五年には一一・四%へと大幅に減少を見せた。
 国内での格差の縮小で特に目立つのは、地域格差がなくなったことで、特に農村地帯の所得向上が顕著となった。アグロビジネスの拡大と農産品の輸出伸長が後押ししている。いっぽうで年金収入は一九八一年の一〇%から二〇〇四年には二〇%となり、金持ちがさらに裕福になる社会現象となっているものの、一般家庭に潤いを与えていることは事実だ。