2006年5月10日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙四月十三日】もしもルーラ大統領が再選されると、二期目のブラジル経済は現在の状況から見て次のようになりそうだ。経済評論家のセウソ・ミング氏が見るところは、経済専門家が考えるプログラムであって、度々脱線する労働者党(PT)の党プログラムではない。
第二期PT政権では、どんな経済政策を打ち出すのか。第一期の失敗を成功のもとにする賢さは、PTにない。ルーラ大統領は再々、忌むべき遺産を前政権から引き継いだといって責任転嫁をした。
前政権末期は金融危機に悩まされた。それをPT政権は克服したと我田引水の誉め方だ。そしてインフレの制御と所得格差の是正、モラトリアムの解消、貿易黒字、公債の縮小、国債信用の回復、リスクの低減とベタ誉めである。
しかし、疑問がある。この素晴らしい功績は、保守派でネオリベラル派エリート階級の手柄によるもので、PT政権の努力はほんの一部に過ぎない。PT政権がブラジル経済を破綻の淵から救い上げたというのは思い上がりである。特に財政政策と通貨政策は、PTの功績ではない。
税収から債務を差し引いた基礎収支の黒字は、国内外の投資資金から差し引いただけだ。中央銀行は、PT政権の支持基盤と政府内反主流派を刺激したので、緊縮財政の綱を緩めた。
ルーラ大統領が〇二年、公債が均衡取れるところまで緊縮財政を行い、インフレが鎮静するところまで基本金利を上げると公言した。この文句を二期目に向けて書き換えると、今度は理想的政治の妨げにならないところまでと変更すると思われる。
同時に通貨政策の独立性を捨て、中銀は政府経費に引きずり回されることになる。通貨の発行権は中銀に与えず、政府のばか者に与える。だから社会保障院の累積赤字が破綻の限界にあることは誰も触れない。社会保障制度の改革が急務であることをPTは知りながら見ぬ振りをする。これが第二期政権だ。