2006年5月11日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】保健省を舞台にした大がかりな組織ぐるみのいわゆる救急車スキャンダル事件で連警は先週、四十六人を大量検挙(さらに八人は逃亡中)したが、国会議員一七〇人が事件に絡んでいるとの容疑を深め、追及していく方針を固めた。国会スキャンダルが相次いで明るみに出ているが、議員の三分の一近くが連座している疑惑が深まったことで、大型汚職事件に発展するのではと注目を浴びている。
これまでの逮捕者は元下議二人のほかは、議員秘書や補佐官および関係官庁の高級官史が主だったが(本紙六日既報)、連警のその後の捜査で議員自らが関与し、賄賂を受け取っていた疑いが強まった。
事件はマット・グロッソ州を起点に同州に本社を置くプラナン社が、自社製救急車や医療器具を、国家保険プランを利用して市街主局に納入する契約を取り交わして納入していた。この際市価の倍以上の価格を水増しして国庫庁に請求してだまして取っていた。
保健プランでは各議員が出身自州に一定の枠まで予算を行使する請求権を有している。プラナン社ではこれを悪用、各議員に賄賂を贈ることで予算交付の申請をさせていた。さらに保険省や産業開発省の高級官史を抱き込み、交付承認を取付けていた。
連警は九日、逮捕したリノ保健相特別補佐官との間で、背後関係をすべて供述する代償に減刑などの恩典を与える司法取引が成立したことで、事件の全貌を把握した。同補佐官は首謀のプラナン社元社員で、昨年八月から補佐官として就任し、官庁内のまとめ役として君臨していた。
同補佐官によると、汚職に連座した議員は一七〇人に上り、代償額は予算交付金の一〇%から一五%相当だという。賄賂はプラナン社の社長および息子(同社取締役)がブラジリアの議員会館で直接議員に手渡していたとのこと。中には交付以前に前渡金を要求したのもいた。
賄賂は現金でアタッシュケースや靴下、パンツの中に入れて運んだという。さらに逮捕された秘書や補佐官らは、単に上からの命令でやったと供述している。
これを受けて上下院の両議長は会談し、予算を交付した議員特権を廃止する委員会を立ち上げるとの申し合わせを行った。さらに事実を調査し、汚職を確認したら、連座議員の追放もあり得るとの見解を示した。