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奇岩に漢字で落書き=V・ヴェーリャ=自然公園でひんしゅく買う=「日本人として恥ずかしい」

2006年5月13日(土)

 杯や竜などの形をした奇岩で有名な観光地、パラナ州立公園ヴィラ・ヴェーリャで、日本語で岩に自分の名前などを刻む落書きが増え、同州立公園で顰蹙(ひんしゅく)をかっている。「日本人として恥ずかしい行為」と、一九九五年から二〇〇〇年まで同州環境局長を務めた中村矗さんは(ひとし、61、兵庫出身=帰化人)はいぶかる。
 同地は州都クリチーバの北東八十キロに位置する広大な自然公園。湖底に雲母が蓄積して輝くことで有名なラゴア・ドウラーダ(黄金の湖)をはじめ、多数の洞窟や奇岩そびえ、パラナの〃秋吉台〃ともいえそうな景勝地であり、環境への配慮を是とする同州の目玉公園だ。
 クリチーバ市に多くの自然公園をつくり、環境先進都市として国連表彰を受けるまでにした立役者、中村さん。この落書きは移民がやったのではなく、日本から来た観光客の若者がやった可能性が高いのでは、と推測する。
 「日本人が百年かけて築いてきた、ブラジル社会からの信用を裏切るような情けない行為だ」。
 日本からの観光客必携のガイドブック『地球の歩き方』にも、行き方が紹介されている。
 今月上旬に、県連ふるさと巡り一行が訪れたときも、実物を目の前に「ひどいね」と口上にのぼった。一行が歩いた約二キロの遊歩道だけで、「菊地○○」など明らかな漢字が数カ所見られた。「この調子なら、全部でいくつあるか分からない」と非難する声も聞かれた。
 中村さんは「日本人、日系人のモラルは、ブラジル人から非常に高く評価されている。日本からきていただくのは嬉しいが、名前を刻むなどのモラルの低さはいかがなものか」と疑問を呈した。