2006年5月16日(火)
日本の警察庁は四月二十四日、二〇〇五年度の犯罪情勢を発表した。同統計によれば、昨年一年間に検挙されたブラジル国籍者は一〇六四人。前年より五十二人減少したが、中国籍(三七三九人)に次いで来日外国人検挙者の一二%を占めるなど、依然として高い割合を占めている。少年の検挙人数は三六〇人に上り、問題の深刻さをうかがわせる。また、静岡県で女児が死亡した自動車事故で注目された国外逃亡の問題では、ブラジル国籍の国外逃亡被疑者が累計で八十六人(全体の一〇・五%)に上ることも明らかになった。
岐阜県で発生したブラジル人兄弟による拳銃強奪事件をはじめ、コンビニや人材派遣会社への強盗、自動車窃盗など、昨年も日本国内でブラジル国籍者による犯罪が多く報道された。
〇五年の刑法犯認知件数は二二六万九二九三件で、前年から一一・五%減少。検挙件数は六四万九五〇四件に上り、三八万六九五五人が検挙された。このうち来日外国人による犯罪は、検挙件数が三万三〇三七件(全体の五・一%)、検挙人数は八五〇五人(同二・二%)に上る。
このうち、ブラジル国籍者が検挙された犯罪件数は六八一一件で、来日外国人犯罪の検挙件数の二〇・六%。検挙人数は一〇六四人で一二・五%を占めた。
件数、人数とも最も多いのは中国籍で、検挙件数は一万一三六六件(三四・四%)、検挙人数は三七三九人(四四・〇%)。
ブラジル国籍者は件数、人数ともに二番目。件数は前年から百九十件、人数も五十二人減少しているが、〇三年には四五二〇件だったことから比べても、依然として高い割合に上っていることが分る。
同じく警察庁が発表した〇五年中の来日外国人犯罪検挙状況の統計(二月一日現在の集計値)によると、中国、ブラジル国籍者による犯罪の八―九割が窃盗犯。
特に車上ねらいに関しては、ブラジル国籍者による犯罪が七割近くを占める。同統計では、犯罪グループの活動範囲が日系ブラジル人のネットワークを通じて広範囲におよんでいると指摘。ブラジル人による犯罪組織の存在や、暴力団とのつながりについても言及している。
このほか、薬物事犯で検挙されるブラジル人も多い。昨年の検挙人数は一二一人で、前年より二二人増加。うち九九人を覚せい剤事犯が占めた。
ブラジル人少年検挙は360人
また、犯行時の年齢から見ると、中国籍の場合二十代から三十代の検挙者が多いのに比べ、ブラジル国籍者の場合一四歳から二四歳までが大半を占め、ブラジル人少年の犯罪が依然深刻な状況にあることがうかがえる。
昨年一年間で検挙されたブラジル国籍の少年(一四歳以上二〇歳未満)は、前年から六人増えて三百六十人。来日外国人少年の検挙者(八九二人)の四〇・四%を占めた。
検挙件数は全体で一五〇八件。罪種別に見ると、大半は窃盗事件。ブラジル人少年の検挙件数は、前年の八八七件から三〇二件減少の五八五件だった。犯罪の発生地域は、関東(三五・一%)、中部(四二・八%)地域に集中している。
ブラジル人少年の検挙者は〇一年に三百人を突破。以後、現在まで三百人台の高い水準が続いている。
76人がブラジルに逃亡?
昨年における国外逃亡被疑者数は八百十九人で、そのうち六百五十一人を外国人が占める。ブラジル国籍の逃亡被疑者は八十六人で、こちらも中国(二百八十一人)に次いで二番目。このうち七十六人がブラジルに逃亡していると見られる。ペルー国籍の逃亡被疑者も十四人に上った。
◎
一九九六年に三百四人だったブラジル国籍者の検挙人数は、年毎に増加し、〇三年に一千人を突破。〇一年(九五八人)以来同様の水準を保っている。同じ九六年に九百七件だった検挙件数は、〇四年に七千件を突破するなど、さらに高い増加率を示している。