2006年5月17日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】一連の警察襲撃に端を発した犯罪組織PCC(州都第一コマンド)のテロまがいの暴挙で、中南米最大都市のサンパウロ市は十五日、大混乱に陥った。
矛先が民間施設に向けられ、とくに銀行の支店が相次いで襲撃されたことで、市内の商店街は軒並みシャッターを降ろし営業時間を切り上げた。このため午後半ばには家路に着く従業員が街路に溢れ出した。
しかし事件発生以来四日間で路線バスの焼き打ちが市内のみで五一件に上ったことから、バスの運転手などの従業員が就労を拒み運行が停止されたことで、足を奪われた市民で大混雑となった。市当局によると五〇〇万人がいつ来るか分からぬバスを待ってバス停に立ち尽くした。十五日午前の通勤時で二九〇万人に支障をきたした。
サンパウロ市内の商店は無差別攻撃の恐怖から軒並み早い店じまいとなった。組織犯罪捜査課では単なるデマが飛び交ったのみと強調しているものの、商店主の証言によるとオートバイに乗ったPCCメンバーと見られる男が市中を走り回り、商店のシャッターを降ろすよう指示していったという。これは犯罪組織が市民を巻き添えにしないために使う常套手段で、威力を誇示する目的もある。また上層部は否定しているものの、パトロールの警官も閉店を促したとも証言している。
サンパウロ市商業連盟によると、少なくとも十二のショッピングセンターが封鎖、残りはセンター内各商店の判断に委ねた。二〇〇〇軒の店が並ぶヴィンテ・エ・シンコ・デ・マルソ街では午後の途中で一斉にシャッターを降ろした。八〇〇軒に上るテオドロ・サンパイオ街の商店も同様で、従業員を帰宅させた。オザスコ市の商店街は正午に店じまいとなった。商店主は従業員の身の安全が第一と説明している。
同連盟では被害額は未定だとしているが、ショッピング側では一週間の売上げの一〇%から一五%とみている。ただ母の日商戦が終ったばかりで、安堵の胸をなで降ろしている。
帰宅を許された従業員らはバスの運行が停止されたことでバス停に立往生となった。バスの焼き打ちが相次いだことで市内を運行する路線バス五一〇〇台が車庫から出なかった。
運転手の乗車運転拒否によるもので、会社側は止むを得ない措置と受取っている。襲撃事件が始まった十二日の時点で会社側は当局に特別警固を申し入れたが、何ら対応がなされなかったと不満を表明している。