2006年5月18日(木)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十七日】調査会社ダッタフォーリャは十六日、PCC(州都第一コマンド)襲撃事件を市民の五五%が責任は司法官の怠慢にあると思っていることを明らかにした。続いてルーラ大統領が三九%、アウキミン前サンパウロ州知事が三七%、レンボ現サンパウロ州知事が三〇%。レンボ知事の事件への対処は、拙劣と最悪が合わせて五六%に上った。レンボ知事は、連邦政府が打診した陸軍部隊の出動を受け入れるべきであったが七三%。サンパウロ州政府はPCCとの停戦交渉を否定したが、実際は屈したが六五%。サンパウロ州政府の治安活動は拙劣が四二%。ルーラ政権は犯罪防止に努力していないが四六%もある。
PCC襲撃事件の犠牲者は、合計で一三二人に達した。ダッタフォーリャが十六日にサンパウロ市民五五三人に質問したところ、治安当局を信用していないと答えた者が五六%、信用しているが三九%であった。恐怖におののいたが四六%、少しが三三%、怖くないが二一%。何を心配したかは家族の様子が八五%、通勤の便が八三%、勤務可能かが七二%、勉強が三九%。
PCCは国際的マフィアや犯罪カルテルの一歩手前の段階というのが、専門家の見方のようだ。イタリアのマフィアやコロンビアのカルテルから見たら、胎児の段階といえそうだ。今回の襲撃事件には、二つのマフィアらしい特徴が見られたという。一は縄張りのコントロール、二が州内全域の連絡網だ。
一では特別重装備のはずの刑務所がコントロールセンターになったのが皮肉だ。縄張りの管理もさることながら、予備軍も編成された。一連の襲撃については、逐一指示がなくても行動でき、時間的にもロスがなく機動的に活動できる訓練がなされている。
二は治安当局の作戦手法をPCCが熟知し、裏をかいたといえる。いわば今回の事件はPCCにとって予行演習のようなもの。普段の教練を実戦で練習したらしい。ブラジルではPCCだけでなく、リオデジャネイロ市のコマンド・ヴェルメーリョもマフィア化している。
ブラジルの治安当局は灰色政治家と癒着しているので、マフィアの思うツボである。マフィアが治安当局を買収するのは猿にピーナツを与えるようなもの。警察官の平均給与は一二〇〇レアル。警察官の妻が内職をしているのは珍しくない。
PCCは次の段階として、治安当局に代わる存在を目指す。これまで自治体が出した許可や権利をPCCが供与するようになる。リオでは犯罪組織が就職のあっ旋や許可、権利の供与を既に行っている。さらに昂じると、裁判官の任命や左遷まで指図する。
コロンビアでは犯罪組織が刑務所の管理まで行っていた時代がある。刑務所職員がボスの命令に従い、パブロ・エスコバルは独房をホテル代わりに使い、自由に出入りをしていた。ブラジルでは、減刑を申請する模範服役囚証明書をPCCが発行するようになる。灰色議員の活躍を支えるため、政界へも積極的に手を広げるようになるとみられている。