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「便乗殺人」の捜査に本腰=検察、死亡者リスト要求=容疑者の16人は前科なし

2006年5月24日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】十二日から十九日にかけて発生したPCCの一連の襲撃事件を関係者は悪夢の一週間と位置付けているが、この期間の犠牲者は一六六人に上った。
 このうちPCCメンバーだとして警官が射殺した数が一一一人だったが、騒動を利用した怨恨による集団殺人や粛清を目的としたものなど、いわゆる便乗殺人の告発が相次いでいることから、サンパウロ州当局は本格的な捜査を開始する姿勢をみせている。
 サンパウロ州検察局は二十二日、警察本部長および軍警司令官に対し、七二時間を期限として死亡者全員のリストを提出するよう命じた。と同時に身許調書、犯罪経歴、殺人登録書および法医学監察の検死結果のコピーを添付することも義務づけた。また、専門の検察官を任命し一件毎に審議して殺人の正当性を解明していくことになった。
 さらに検察局は人権擁護団体が個別に人道的立場から調査することを決定、調査委員会を設けることから、これと歩調を合わせることも申し合せた。
 この委員会にはブラジル弁護士会(OAB)の弁護士も加わっており、今回の騒動の指令を発したとされるPCC幹部が服役しているプレジデンテ・ベルナルデス市の刑務所を訪問し、幹部らと接見してPCC側の言い分を聴取することになった。フルカワ刑務所管理局長官も弁護士の接見を特別に許可した。サンパウロ州保安局では検察からの令状が未入手だとしてコメントを避けた。
 これまでに発表された四十六人の犯罪者死亡リストのうち、十六人が過去に犯罪歴がないことが明らかになり、これが問題視されている。しかし、かといって彼らが犯罪組織と無関係だと実証するのは困難を極める。
 例えばファベーラを根域とする麻薬密売所では、見張番に警察の厄介になったことがない組員を立たせている。警官が急襲した時にシラを切り、無罪放免となるまでの間にほかの犯罪人が逃げる時間ができるからだ。
 いっぽう、グアルーリョス市内で発生した少年を含む集団殺人で、犯人が警官の制服を着て忍者風の覆面をしていたことは、カモフラージュと見られ、無実の殺人の疑いがもたれている。