愛、信仰、不安そして死=作家コエーリョ氏=人類永遠のテーマを問う=「もう一人の自分」を語る
2006年5月24日(水)
【エザーメ誌八六六号】神秘主義者のブラジル人作家パウロ・コエーリョ氏は、なぜ世界的な有名人となったのか。なぜ「東芝の顔」に採用されたのか。現在、同氏の著書は五十九カ国語に翻訳され、一六〇カ国で七〇〇〇万冊が販売されている。同氏は一九九九年、ダヴォスの経済フォーラムに招かれ、ビル・ゲーツ氏に並ぶ「時の人」となった。ルーラ大統領の訪英では、英女王から招かれ晩餐会にも同席した。同氏の名声はダイムラー・クライスラーやECD・GmbH、モンテグラッパなどの目にとまるところとなった。
東芝は同社のラップトップ(小型パソコン)に、コエーリョ・シールを貼る契約を結んだ。東芝製品と同氏の作品がどんな関係にあって、どんな効果があるのかよく分らない。東芝は、製品を同氏の名声のように最先端と最高級品のイメージで売る考えらしい。同社製品は、コエーリョ氏の世界的名声と同じように共通すると思っている。
神秘主義がビジネスと結びつくことを企業は発見した。企業はこれまで、消費者が神秘主義に関心を持っていることに気付かなかった。消費者は自分の中の未開拓分野にいつも関心を持っているようだ。神秘主義は製品の気品やデザインの美しさ、愛着感と並ぶ重要な要因としてメーカーから見直された。
同氏の作品が扱うテーマは、愛と信仰、不安、死といつも一定している。人類が永遠に問い続けるテーマである。同氏は、愛読者とテレパシーで交信している。愛読者が何を求めているか。それを届けることに使命感を感じている。あるときは絶望する母親や貧しい少年少女、虚しさの晩年を迎えた老人になり読者にやさしく語りかける。同氏には心の顔がいくつもある。
なぜ同氏には明るいオーラが映えるのか。オーラは全ての人を慰める。オーラは人間に独特な性格、カリスマから発すると同氏は語る。悟りの境地らしい。ある次元を突き抜けると、カリスマは芽生えオーラが映えるようだ。
コエーリョ氏の作品が反響を呼ぶのは、もう一人の自分の「実存」について語っているからといえる。どうにもならない自分と泰然自若とした自分がいることに誰もが興味を持っている。しかし、その秘密を明かしてくれる人は少ない。もう一人の自分は本来の自分で、現在の自分は現世を彷徨する放蕩息子らしい。
同氏が未開拓なのはハリウッドだ。一九九三年に一度、ハリウッドのワーナー・スタジオへ「アウキミスタ」(錬金術師)を売り込みに行った。契約は成立したが、未だに上映されてない。契約書に期限を限定しなかったことを同氏は悔やんだ。
ハリウッドでは拒絶されたようだ。最近日本の映画会社と「ヴェロニカは死を決意した」を契約し、アジア地域で二月に上映された。その後、アウキミスタにヒントを得たミュージカル映画をヨーロッパで上映して好評を得た。