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毒蛇の頭を切り取れ!=治安問題は刑務所にあり

2006年5月24日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】PCC(州都第一コマンド)のメンバーが末端も含めて一三万人、狙撃隊員が一万人、予備軍が二万人。ちょっと信じ難い数字である。ボスの命令により七二時間にわたって、警察官殺害や警察署襲撃、銀行への機銃掃射、バス焼き打ちを行ったというのだ。
 PCCが強くなったのはなぜか。メンバー増員か、管理体制か、規律か。第一段階として、全国七十五カ所の刑務所に暴動を指令した。PCC殺人部隊はかねて狙っていた警官を次々襲った。第二段階が公共施設の破壊や路線バスの焼き打ちだ。
 当初の計画通り市民をパニックに陥れ、サンパウロ市の産業活動を事実上マヒさせた。治安当局は襲撃が普通の犯罪ではないことを知った。これは軍事作戦やゲリラ戦で使われる手法である。PCCの機動化と組織化は、綿密に準備されたものである。ボス・マルコーラが本で学んだものではない。
 陸大の戦略教科書にサン・ツーの著書「戦略と戦術」全巻の科目がある。このような組織に対抗するには、ボスの処刑か命令系統の遮断しかない。ボスの処刑ができないなら、完全孤立しかない。毒蛇の頭を切り取ってしまえば、組織体は機能しない。
 PCCのボスを処分すれば、メンバーは元の巣へ戻り、スリやかっぱらい、麻薬密売などの小悪党に帰る。コソ泥なら軍警で十分対処できる。PCC対策は、治安当局だけの問題ではない。ボス・マルコーラを退治するには、政治改革からやらねばならない。
 これは政府と省庁、議会、最高裁が一丸となって早急に取り組まねばならない問題である。サンパウロ州に事件が起きると、政府は応援を打診する。議会は机の引出しを開けて、大切な議案を審議するのを忘れていないか調べる。最高裁は法整備の必要を感じるが、具体的な行動はしない。
 一週間も経つと襲撃事件は治まり、政府も議会も事件の重要性を忘れる。行政府も立法府も司法府も問題をタライ回しにしている。問題の重要性がわからないのだ。犯罪防止に刑法の見直しを行ったが、刑法自身は犯罪を防止しない。刑務所管理に刑法は全く役立っていない。
 ブラジルの治安問題は、街中にあるのではない。犯罪組織の参謀本部が設置されている刑務所にある。刑務所の中では大企業の重役会議並みの犯罪組織幹部会議が再々行われる。命令や伝達の規律は見事なものだ。
 警察署へ押し入り警察官を殺害するのは、朝飯前の簡単なこと。しかし、刑務所へ押し入りPCC幹部を殺害するのは不可能である。これはボス・マルコーラの供述。ボスの孤立にあらゆる手段を講じたが、外部に精巧な連絡センターがあって遮断できない。
 ボスの周囲には、多数の弁護士が軍師となって法律顧問を任じている。ブラジルの法律では死刑が認められないので、犯罪組織も合法政権と同じ位の権利を保障されている。

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