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4カ月で地球を1周半=国内飛び回る大統領=事実上、選挙運動を展開=反政府デモには事前根回し

2006年5月26日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】外国訪問が高じて歴代大統領就任中の外遊の新記録を樹立したルーラ大統領だが、今年に入り国内旅行でも新記録となり、座っていない大統領という異名の面目を発揮した。今年に入り四カ月半で大統領専用ジェット機によるものが六七回、同じく専用ヘリコプター五八回で、飛行距離は三万九三八六マイルとなった。これは優に地球一周半以上に相当する。関係者は大統領選への再出馬を表明していないことを良いことに選挙キャンペーンを展開しているとみている。出馬を表明すると落成式などの公式行事に参列できず、また公共物の使用も禁止されるため、今のうちにやっておこうというもの。いっぽうで大統領は元来、旅行好きでこれまで叶えられなかった旅行を満喫しているのだとうがった見方をする向きもある。そんなことはお構いなしにルーラ大統領は今日もブラジルのどこかの上空を飛んでいる。
 ルーラ大統領の四カ月半の飛行距離は地球の一周半以上に相当する三万九三八六マイル(六万三三八三・八キロ)で、内訳はルーラ航空(アエロルーラ)と呼ばれる大統領専用ジェット機が三万七五五四マイル(六万四三五・六キロ)、ヘリコプターが一八三二マイル(二九四八・二キロ)だった。これに要した燃料費は三一五万レアルとなった。さらに約三十人で構成される六十組のスタッフおよび随行員の宿泊費八五万レアルを含む経費総額は四〇〇万レアルに上った。
 大統領が現地におもむく際は、三十人から四十人のスタッフが四日ほど前に現地入りして下準備を行う。スタッフはTAM航空のジェット機を利用する、ジェット機はスタッフを降ろしてブラジリアに引き返し、終わった時点で再度迎えに行く。ルーラ大統領の特徴は複数のイベントや視察を行うことで、一カ所にとどまらないため、下準備のスタッフは多忙を極める。
 大統領専用機には関係閣僚をはじめ、二十人ほどの警備員、医師、政府儀典係官、報道官、総務担当、報道関係者などが乗り合わせる。政府の総務長官も必ず随行するのも歴代大統領と違うところだ。
 総務長官は反政府グループとの折衝を担当する。反対デモを計画しているグループの代表と面談し、大統領と引き合わせて言い分を聞き、騒動に発展しないよう根回しする。また複数の陳情団と会い、大統領への直訴の可否も決定する。しかしこの裏工作がすべてうまくいくとは限らない。
 その一例が四月十九日にポルト・アレグレ市訪問の際に展開された大規模な反政府デモだ。この裏では労働者党(PT)を離党したジェンロ議員(元総裁)が動いたとみられている。
 大統領は昨年からメンサロン(裏金)疑惑で国会が揺れ動いているのを尻目にイベントへの参加や地方視察を続行すると公言して、関係者の神経を逆なでしたが、意に介せず実行に移した。
 選挙キャンペーンと取られる行動もみられた。例えばコリンチアンスのファンということでサンパウロ州選手権の閉会式に出席(結局サントスが優勝)したり、サンカエターノ市のカーザ・バイアの支店開所式にも出席した。私企業のイベントに一国の大統領が出席したことでひんしゅくを買ったものの、大統領はお構いなしに演説、同店は貧困層にクレジットを与えていることを賞賛し、政府の貧困対策と相通じるところがあるとして、チャッカリ自画自賛した。