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市況一転、トリプル高に=2日間で5%前後の乱高下=国内外で好指標の発表受け

2006年5月27日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】今週に入り金融市場は不安定要素が入り込んだことで海外投資家の思惑がからんだ動きが活発となり、混とんとした市況となったが、二十五日には一転して反発、平常に戻り、週明け時の元のもくあみとなった。
 二十五日のボベスパ株価指数は四・九六%上昇、ドル相場は四・四二%下落、カントリーリスクは六・五七%下げとなり、一気にトリプル高へと逆転した。株価指数の一日における上昇幅は、二〇〇四年五月十一日に記録されて以来の最高を示した。ドル相場は二・二九レアルとなり、二十四日に四・六七%上げて二・四〇レアルになったのを帳消しとして先週末の水準に引き戻した。カントリーリスクは二七〇ポイントとなり二十四日に二・一八%上げて二八一ポイントになったのを逆転した。
 米連邦準備制度理事会(FRB)が近日中に再度金利を引上げるとの観測が流れ、海外投資家が米市場に流れる動きをしたことで、ブラジル国内で相場が高騰したが、金利引上げを否定する噂が大勢を占め始めたことがドル相場反発の原因と指摘されている。
 この背景には米商務省が二十五日、今年第1・四半期のGDP(国内総生産)が好調に推移したことで年間成長率が五・三%になると予測、政府目標の五・八%が射程距離に入ったと発表したことがある。これにより物価指数も予測範囲内にあり、インフレ上昇の懸念が薄らいだことで、短期的に金利引上げは必要ないとの見方が大勢を占めている。
 いっぽうで、ブラジル政府のプライマリー黒字は今年一月から四月までで四〇四億レアル超となり、GDPの六・三六%となった。今年の政府目標が四・二五%であることから、高水準で推移している。これも海外投資家の信頼を取り戻す要因となった。
 現に二十四日には国債NTNボンドの売りが殺到して、それをドルに換金したことでドル相場が急騰したが、二十五日の証券取引所ではその動きが止まり、静観する姿勢が目立った。それがドル相場の反発につながった。さらにドルが高騰したのを受けて輸出業者が手持ちの為替手形の決済(輸出代金)を集中させたのも原因となっている。
 エコノミストらは五%上げて翌日に五%下げるのは前代未聞としている。マンテガ財務相は、ドル安に戻ったことは残念だと失望の色を隠せないものの、国際市場に左右されないブラジルの強い体質の表れだとした上で、二十四日にルーラ大統領が発言した「アメリカがくしゃみをしたらブラジルが風邪を引くと言われたのは過去のことだ」を引用し、外貨準備高も十分だしプライマリー黒字も拡大して経済は安定しているとの認識を強調した。