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フルカワ長官が辞任=保安局長官とあつれき=州政府の体制も厳しく批判

2006年5月30日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】ナガシ・フルカワ刑務所管理局長官が二十六日付けで辞任した。サンパウロ州ブラガンサ・パウリスタ市の判事時代に、時のマリオ・コーヴァス知事(故人)に手腕を買われて局長に就任、数々の刑務所改革を手がけてきたが、約六年半にわたる就任に終止符を打った。
 十二日に発生したPCC(州都第一コマンド)の一連の襲撃事件と刑務所内の大規模な連続暴動は、刑務所に服役しているPCC幹部が指令を発していたことで、一部から刑務所管理局の管理責任を問う声が挙っていたが、フルカワ前長官はこれを強く否定し、引責辞任ではないことを改めて強調した。
 辞任の理由として州政府の組織の体制を挙げ、とくにサンパウロ州保安局のサウロ長官とのあつれきが原因だと名指しで非難した。サウロ長官が結果主義なのに対し、フルカワ長官はロマンチストだという世評を肯定し、価値観の違う二人が相いれる道理がないとの認識を強調した。これに対しレンボ知事に、戦争に例えるならば二人の指揮官をまとめる将軍補佐官的ポストを設ける必要性を説いたことも明らかにした。
 また一部ではジャポネースは囚人の頭をなでて甘やかしているとの批判については、そもそも刑務所は更生の場であり、囚人とくにPCCメンバーには更生の道がないと決めてかかっている保安局が間違いだと決め付けた。
 保安局は悪人を刑務所に入れたことでお役目ご免と思っているが、背後関係や組織の動きなど、捜査の第一歩はここから始まるという認識に欠けているとして、今回の一連の暴挙はこれにより未然に防げたはずだと指摘した。
 またPCC幹部との交渉はなかったと、改めて否定した。襲撃事件が発生した翌十三日の未明、州幹部などの関係者二十人が集まり交渉の是非を検討したが、反対を唱えたのは自分唯一人だったとして、意見を押通したことを明らかにした。ただし弁護士の接見は正当な権利であり、許可したという。
 話し合いの内容は知らぬが、州政府が何らかの条件を弁護士を通じて提示したのであれば、その判断は正しかったとの理解を示した。それにより犠牲者が出なかったのは重要だったとした。
 いっぽうで前長官は、刑務所内の幹部のほかに市中で新しいリーダーが台頭しているとの情報を囚人らから得ており、これらを徹底的に壊滅しない限り、判事などの司法関係者の殺害や、大物政治家を誘拐して、服役中のPCC幹部の釈放を要求するなどの動きが広まるだろうと警告している。