2006年5月30日(火)
パラナ州クリチーバ市で日本移民百年に向けての準備が始動した。百周年委員会委員長に選任されたクリチーバ日伯文化援護協会の山脇ジョージ会長は、「手間はかかるが、大勢の意見を取り入れ、最後には皆が『参加した』と思えるような協力体制を作っていきたい」と抱負を述べた。
現在同市では、四つの企画が提案され、多くの賛同を得ている。「内容はほぼ決まっているが、どういう方法でやるかはこれから話し合う」と山脇会長。
提案の一つ目は、デイケアセンターの設立。「先輩方のおかげで今があるのだから、その人たちのために」行う。このアイデアは昨年生まれた。「最初は文援協ウベラーバ本部会館で行うことになるだろう。経営は文援協が行うが、協会に属してない他団体の人も使ってもらえるようにしたい」という。「支援は当てにしなくても、まずできることを自力で始めてみる。建物にこだわるよりも、制度を整えたい」と、確実な実現を目指す。
二つ目は、日・英・ポ語を扱うブラジル政府認定の学校を造ること。この提案は、若い世代のため。「資金の面は、段階的に考えていく」と詳細についてはこれからだが、「反対の声はなかった」という。
三つ目は、日系社会の実態調査。昨年、原ルイ・クリチーバ市議会議員の提案で始まった。「人口や経済状況、職業についての調査をし、四、五、六世にこの結果を残し、二百年へのつなぎとしたい」とは原議員の言葉だ。山脇会長も「予算が許す限り、実施範囲はクリチーバだけでもやる」と意欲を見せる。
四つ目は、アーケード・インペラドールの建設。市民公園を、ピニャイス市内の州の土地(クリチーバ中心から約十五キロ)で造る計画だ。「九十周年に陛下が来られたときに図面を書いた。それを百年目に形にしたい」という。「先日、知事と会った際に考えてもいいという言葉をもらった。費用は州に持ってもらうつもりで話を進めていきたい」。
山脇会長は「できる限り大勢の人に携わってもらいたい」と、多数決などに時間と手間をかけてでも全体の合意を得た計画を実行に移していきたい考えだ。
委員会は、去る三月六日、ベト・リッシャ同市市長やパラナ日本国総領事により発足を承認されている。同月二十七日には記念事業構想についての簡単な説明が行われ、山脇会長が委員長として承認された。県人会、グロリアや野球連盟、各宗教団体の代表が集まり、各団体の長を相談役とし、委員の選出を始めることが話し合われた。来月中には選出された委員が、各団体に承認される予定である。
また、百年記念事業をきっかけに文援協やグロリア、野球連盟など、複数ある日系団体を一つにまとめていきたい意向もあるようだ。「まとまれば、全伯規模での行事を行える施設建設も夢ではない。百年に向けて協力をする中で、この話も進めていければいい」と西脇会長の展望は大きい。