2006年5月31日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十日】国立農事試験場(Embrapa)は九日、民間企業のBrasif・Pecuariaと核培養によるクローン牛育成の技術移転契約を結んだ。五年計画で、クローン牛を量産し市販するのが目的とされる。プロセスは羊ドリーとほぼ同じ。
受精した幹細胞から遺伝情報を有する核を取り出し、それを核のない受精卵に植え込み化学処理をする。すると多くの幹細胞に分裂する。こうして種牛のコピーが多数、生み出される。Embrapaはクローン牛ヴィトリアで成功した実績がある。
これまで一般のクローン技術は、流産した子牛から細胞を取り出した。培養した百頭の子牛から生き残るのは五頭位とされ、しかも六カ月で死亡した。関係者は失敗の原因がわからないで現在も煩悶している。
クローン技術の目的は最初、クローン牛から牛乳などを搾乳して製薬用に利用する考えであった。Brasifは、複写機のように子牛のコピーを作り出そうという計画である。
EmbrapaはBrasifの資金協力で、実験を大規模で長期間にわたって行う。海とも山ともわからないクローン技術に投資をする企業が現れたことは、Embrapaにとっても奇跡といえそうだ。