アグリビジネス

2006年5月31日(水)

 遺伝子組替え(GM)種子のモンサントは、アルゼンチン政府とロイヤリティの支払をめぐって長年にわたり係争している。同社はアルゼンチンからスペインのビルバン港へ向けて出荷された大豆粕十隻分を、ロイヤリティ滞納を理由に裁判所を通じて差し押さえた。結局、輸入元がトン当たり一五ドルのロイヤリティを立替えて、積荷は差し押さえを解かれた。これを前例として輸入企業は今後、通関でのトラブルを見越した負担を取引額から先に差し引くものと思われる。
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 EUは砂糖への補助金制度を年間一二三万トン、金額にして最高四億九九〇〇万ドルを限度にすると世界貿易機関(WTO)で義務付けられた。しかし、在庫が八〇〇万トンあるため、限度を無視して制限超過を継続している。ブラジル政府は、オーストラリアやタイと同盟してWTOへ報復措置の許可を申請することにした。
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 ドル安とレアル高を背景に価格破壊でおなじみの中国メーカーが発動機や耕運機、鋤、播種器、携帯発電機などの農機具を、ブラジルを中継地に南米全土へ輸出、配給するらしい。すでに中国企業数社が、ブラジルなどの市場調査に訪れ前向きの感触を得ている。
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 カリブ海の砂糖工場が一斉にエタノール生産に転向した。カリブ地域は欧州向け砂糖生産地として長い歴史があるが最近、原価高騰と相場低迷で工場は閉鎖していた。そこへエタノール生産が登場した。