2006年6月2日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙一日】ブラジル地理統計院(IBGE)は三十一日、二〇〇六年第1・四半期に企業の設備投資と家庭の消費が伸び、GDP(国内総生産)前期比一・四%増の経済成長があったと発表した。中央銀行が昨年九月以降始めた基本金利の引き下げ効果は、建設と工作機械などで見るべきものがあったとIBGEが発表。建設業界は前年度同期比で七%増、特に住宅購入のローンが後押しした。選挙の年であるため、庶民住宅の建設に拍車がかかったものとされる。マンテガ財務相はGDPの伸びに拍手を送り、金利が経済成長の妨げになっていないと強調した。財務相は現職に就任後、高金利を批判され経済成長を心配していた。
マンテガ財務相は〇六年の経済成長率を四・五%とし、産業界は三・三%から三・八%とした。第1・四半期が前期比一・四%と発表されたため、まずは胸をなで下ろした。年間予想で五・七%ならば、財務相の面目が立ちそうだ。
〇五年第3・四半期が〇・八%の落ち込みだったため、〇五年第4・四半期と〇六年第1・四半期の連続二期増加は、経済が上昇気流に乗ったといえそうだ。昨年同期比では、三・四%増。〇五年九月から始まった基本金利引下げによる金融緩和の効果は、全産業分野で判然としている。
第1・四半期で特筆すべきは、基本金利引下げによる投資の増加。まず固定資本で前期比三・七%増と出た。前年同期比では九%増、〇四年第4・四半期以来の快挙である。投資増加の牽引車は、建設と機械であった。住宅ローンは一七・二%も伸びた。国道の補修「タッパ・ブラッコ」は、半年分を第1・四半期に突貫工事で行った。これも選挙年のお陰である。
機械購入の投資は、為替事情の好転で輸入が容易になったためと思われる。機械輸入は同期の輸出増加をはるかに上回った。またGDPの五五%を占める一般家庭の消費は、第1・四半期が前期比〇・五%増。政府経費は一%増。
産業界のGDPトップは鉱業で、前年同期比一二・六%増。メーカーは三%増に留まった。アグリビジネスは昨年同期比で、気の毒にも〇・五%減。
GDP発表で祝杯を挙げたのは、ルーラ大統領ではないか。〇六年のスタートとしては縁起がよい。政府を喜ばしたのは、工作機械の輸入が増えたこと。経営者が機械購入で、将来の企業発展に賭けていることを意味する。経済成長は堅実に継続のサインだ。
大統領にとってGDP発表は、大統領への再選切符だと副候補に招いたクエルシア氏に告げた。緩やかな経済成長の継続は、選挙基盤を固める。当初の経済成長率目標四・五%は、達成も同然と労働者党(PT)は祝杯を挙げた。
経済停滞で批判の矢面に立った政府は、ようやく元気を取り戻した。また政府に追風となりそうなのが、引き下げ傾向にある基本金利。高金利批判の急先鋒であったマンテガ財務相が豹変し、高金利は経済発展の妨げにならなかったといい出した。これでブラジル選抜軍がサッカーW杯に優勝してくれたら、〇六年は何もいうことがないと財務相は上機嫌である。