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日伯EPAの早期締結を=ブラジリア=首都で経済セミナー=投資環境の改善求める=「両国関係の再スタート」

2006年6月2日(金)

 伯下院外交・防衛委員会と在ブラジル日本国大使館の共催による日伯経済セミナーが五月三十一日午前、ブラジリア連邦区の下院第二別館で開かれた。「日伯経済関係の更なる強化・発展をめざして」をテーマに両国関係者が意見を発表。日本側の出席者を中心に、日伯両国の経済連携協定(EPA)の早期締結が求める意見が出された。
 セミナーには下院、日本側関係者など約七十人が出席。日本側からはサンパウロをはじめ国内各地の商工会議所、JICA、JBIC、JETROなど政府系機関の代表者、ブラジル側からは下院外交・防衛委員会のアルセウ・デ・デウス・コラーレス委員長や、ジョゼ・アウグスト・フェルナンデスブラジル工業連盟(CNI)理事などが出席した。
 冒頭開会の辞を述べた堀村隆彦大使は、八〇年代から九〇年代にかけて停滞が続いた両国経済関係が、「現在はエタノールやデジタルTVなど民間を主体に力強い動きが見られるようになってきた」と期待を表した。
 昨年三月に続いて二年連続の開催となる日伯経済セミナー。今回は主に、ブラジル日本商工会議所関係者から、日伯両国間のEPA(経済連携協定)締結の必要性を説く意見、ブラジル側の投資環境改善を求める意見が目立った。
 最初に田中信会頭が、会議所の歴史と現状を説明。会頭は、近年の両国首脳往来が五〇年代、七〇年代に続く日伯経済関係の新たな波につながるとの見方を示した上で、「EPA締結に向けては両国の熱意と活発な行動が必要」と強調。二〇〇八年の日本移民百周年が「あらゆる意味で日伯関係の新しいスタートになる」と述べた。
 続いて意見を述べた工藤章名誉会頭は、九〇年代の民営化、規制緩和等によって対伯投資が伸びた点を挙げつつも、輸送インフラの未整備や煩雑な通関手続き、税制、労働者を過剰に保護する労働法など、いわゆる「ブラジル・コスト」の問題に触れ、「ブラジルは今のままでは中国ほど魅力的な投資先とは言えないと思う」と指摘。
 一方で、エタノール輸出や、温室効果ガスの排出権取引に関するCDM(クリーン開発メカニズム)などの環境分野、ハイテク分野で投資拡大の可能性があると述べた。
 「ブラジル・コスト」の問題については大前孝雄副会頭も触れ、他のBrics(伯・露・印・中)各国と比べ、日本からブラジルへの投資が減少傾向にあると指摘。対伯投資促進、両国経済活性化に向け、知的財産の保護、投資障壁の改善、二重課税の危険性防止、人材交流などの取り組みが必要との認識を示した。
 これら日本側の意見に対し、CNIのフェルナンデス理事も「CNIが実施した調査でも、多くの加盟企業が日本との自由貿易協定に期待を表している」として日伯EPA締結の必要性に理解を示した。その一方で、EPAによる関税撤廃が国際競争力の減退につながる懸念も表明。さらに交渉にあたっては工業製品だけでなく、牛肉や鶏肉、果物など農産物輸出に関する合意も重要と述べた。
 セミナーではこのほか、会議所の岩村哲男副会頭がブラジルの移転価格税制の問題点について講演。またJBICリオ事務所の尾頭寛駐在員、JICAブラジル事務所の小林正博所長、JETROサンパウロ事務所の渡邉裕司所長などが、それぞれの事業概況について説明したほか、パラナ日伯商工会議所の上野アントニオ会頭、リオ会議所の堤寿彦会頭、アマゾナス会議所の山岸照明会頭が講演した。