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最大の売りは経済成長=再選に意気込む大統領=貧困層に汚職事件は「雲の上」

2006年6月6日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】今年度の経済成長が当初の予想より期待できるとの曙光が見えてきたことで、関係者はルーラ大統領の再選に向けて最大の宣伝材料になるとの見方を強めている。
 ルーラ大統領自身は相変わらず出馬表明は保留しているものの、周囲とくに自党の労働者党(PT)内部では出馬を既成事実としており、経済好転はこの上もない選挙キャンペーンの後押しになると意気込んでいる。
 コンサルタントのテンデンシア社が分析したところ、選挙が行われる十月までにGDP(国内総生産)成長は年間四%の水準で推移し、昨年二・二八%にとどまったのを挽回すると予想している。
 さらにSELIC(基本金利)は一四・五%のレベルとなり、通貨政策委員会(COPOM)が設置された一九九六年以来、最低となる。これによりインフレ率は月〇・五%で推移するとみている。国民所得は五・四%増加し、GDP成長を上回る。
 またルーラ政権が施政の目玉の一つとして挙げる個人融資のコンサイニー貸付(給料の銀行振込から自動的に返済額を引き落す)の利用者は二二%増加し、昨年の二九%の水準に近づくとみている。これは先に政府が金利徴収の上限を設定したのも利用増の要因となっている。
 このほか、これまでのルーラ政権を振り返り、ルーラ陣営が鼻高々と国民にアピールするものに、今年四月に引き上げられた最低賃金がある。それまでの三〇〇レアルから三五〇レアルとなり、政府筋ではこれにより年内に一三三億レアル購買力が上昇すると予想している。
 また家族貧困手当も二〇%の調整を行い、対象となっている九二〇万家族に潤いを与えた。この対象家族を年内に一一一〇万家族にまで拡大するという。これにより貧困層のDおよびEクラスの票固めを狙う。
 実際に貧困層が多い国内奥地では国会スキャンダルなどの汚職事件は雲の上の出来事で、自分の目の前の生活が大事だとの声が選挙の世論調査に反映されている。ルーラ大統領の支持が伸びたのは、これが背景となっているのも一因だ。
 このほか、一八七億レアル相当の建築分野への融資や、所得税の八%調整、一三四億レアルの農業融資、二〇億レアルの各市への助成金なども宣伝材料として挙げられる。