2006年6月7日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙六日】サンパウロ市証券取引所(Bovespa)は五日、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ理事長によるインフレ懸念と景気後退発言を受けて、取引指数を三・一七%下げた。FRB理事長が、六月末に政策金利の再度引き上げを示唆した。同発言は世界の主要証券市場に変動を起こし、世界同時安となった。原因はイランが米国向け原油輸出を中止する意向を表明し、原油の高騰がインフレ圧力への導火線となったらしい。マンテガ財務相は、市場変動を過剰反応であると警告した。これを機会にブラジル国債の回収を発表、カントリーリスクが四%下がった。
世界同時安の中でサンパウロ市証券取引所は、トルコに次ぐ世界で二番目の下げ幅となった。財務相は、金融市場の過剰反応に対し、軽率な発言を慎むよう警告した。FRB理事長の発言が火元というが、前言の反復であり、新味はないと財務相はいう。過剰反応は、金融市場のグローバル化と通貨流通量の増大、カントリーリスク尖鋭化の表れだとした。
市場変動は、途上国ほど大きく揺さぶられた。ブラジルは往年よりは経済基盤が強化されたが、財政収支が赤字で外債の決済に苦慮している途上国は多い。ブラジルは辛うじてその段階を卒業した。
米経済は不動産業界に陰りが見え始め、景気の夕暮れ時が訪れたようだ。米国は景気の冷え込みが始まった今、政策金利引き上げを〇・二五%の小刻みとし、現行の五%が五・二五%と財務相はみる。これで米国の金利引上げは十七回連続の引き上げだ。発表は六月二十九日の予定。
中央銀行のメイレーレス総裁は、金融変動に見舞われても輸出と国内需要は順調に伸びると、楽観視する発言を行った。それはインフレが目標内に制御されているからだという。国際市場がクシャミをしたら、ブラジルが肺炎になった時代は終わったと発表。
米景気後退の原因は、イラン問題にあるらしい。イランの最高指導者ハメネイ氏が核開発問題で原油を切り札に使うと宣言したことから、原油の対米輸出中止と金融の国際変動につながったとみられる。このハメネイ発言で原油は〇・三七%上がった。
バーナンキ理事長は、原油価格が限界にあり、先物は長期で見るなら下降傾向にあると楽観する。心配なのは中期的な原油相場。原油の高騰に便乗して、コモディテイ(必需品)全般が高騰するからだ。
フルラン産業開発相は、政府が十五日以内に輸出保護対策を迫られていたところへの金融変動であったと安堵した様子。同相は、対策案の妙案がないため小出しになると述べた。為替変動により喜ぶ分野と泣く分野とがある。政府が考えている輸出業者や農業生産者の救済案は、輸出融資の拡大と為替法改正である。
為替法改正原案をサンパウロ州工業連盟が上程した。二〇〇二年はドル高でドル建て債務を抱える企業が苦境に立たされた。今度はドル安で為替差損を被っている。この為替管理システムを逆にするため、日本方式を取り入れるらしい。輸出による為替差損を同額のドル建て融資を起こして相殺する。