2006年6月7日(水)
ロベルト・ロドリゲス農務大臣は日本政府に対し、エタノールやバイオディーゼル生産プログラムに対して約十二億八千六百万レアル(約六百四十一億円)の融資を要請する意向を固めつつある。これが決まれば融資規模は過去最大で、セラード開発の約二倍。百周年に向けて、環境および資源エネルギー分野での日伯関係を強化させるカンフル剤となりそうだ。
これを報じたアジェンシア・ブラジル(国営通信)やエスダード紙などによれば、ロドリゲス大臣は今年十月ごろに国際協力銀行(JBIC)と調印し、来年四月から融資をうけたいとの期待を表明した。
昨年四月からJBICはエタノールやバイオディーゼルに関する調査をしており、三百五十頁におよぶレポートの報告会を三十日、ブラジリアの農務省で行い、ロドリゲス大臣も出席。財務、開発商工省からも担当者が出席した。その後、このプロジェクトに関する期待を大臣が表明したものを伯字紙が報じた。
国営通信によれば、融資を期待している総額は十二億八千六百万レアル。内訳は農業者の育成や調査事業に八千六百万レアル。サトウキビのほかヒマワリ、デンデヤシなど搾油植物の新規農地開拓に五億二千万レアル。北東部へのバイオディーゼル工場建設に六億八千万レアル。
ブラジル農務省筋では「第二のセラード開発」との掛け声で計画を練っており、予算企画省などと調整するとしている。
ブラジル政府にとって、エタノールへの融資は現在の生産設備拡大や安定供給を目指したものだが、バイオディーゼルに関しては新たな分野への展開となる。
七〇年代に行われた日ブラジル家プロジェクトだったセラード開発が六億ドルだったので、もし決まれば、それに二倍する金額。最近の大型物件だったチエテ川流域環境改善事業(円借款=四百九十四億円)をも凌駕する規模となった。
在ブラジリア日本国大使館では「まだ要請を受けていないのでなんともいえない」としながらも、「もし決まれば、百周年にむけての農業分野の交流に勢いがつくでしょう」とする。
今件を担当するJBICリオ事務所、相川武利首席駐在員は「大臣からの期待感の表明と受け止めてます。まず要請がこないと中身の議論ができないし、金額もわかりません」と慎重なコメントをよせた。