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MLSTが下院ビルに乱入=未曽有の不祥事=逮捕者545人、26人けが=リーダーはPT幹部党員

2006年6月8日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】農地占拠自由運動(MLST)のメンバーは六日、下院付属ビルへ乱入して狼藉を働き、警備員に暴行を加えた。下院史上未曽有の不祥事となり、逮捕者五四五人、負傷者二十六人を出した。MLSTの侵入者は、鉄棒やこん棒、石、鍬を携えバスで到着するなり第二ビル正面玄関に殺到。狼藉は一時間半にわたり、抽選会の賞品である乗用車や、コンピューター、植木鉢、照明具、OA機器、ガラス戸を破壊した。軍警部隊が侵入者を包囲し二時間後に鎮圧した。逮捕者を講堂に一時留置し、身元確認を行い責任者の割り出しを急いでいる。
 グループの首謀者は六人、指揮をしたのはブルーノ・マラニョン氏で、農地占拠運動(MST)の反主流派で労働者党(PT)党員。下院を狼藉の戦場と化し、憲政史上前例のない乱暴を仕出かした。下院職員や下議は難を避け、あ然としていた。
 レベロ下院議長は少し遅れて到着し、狼藉時にはいなかった。直ちに同氏を呼んで一切の交渉を拒否し、身柄の拘束を示唆した。両人は三十年来の顔見知りであるらしい。狼藉の目的は、招かざる珍客の到来を知らせる手紙を上下両院の議長へ手渡すことだったようだ。
 MLSTリーダーのマラニョン氏とレベロ下院議長は、かつて同じ釜の飯を食った仲。MLSTが交渉へ赴いた法務省や保健省など全てに軍警を手配し、問答無用と門前払いをしたのが同氏を刺激したらしい。往年の同志が権力の座についたとたん、無二の友を犬畜生のように扱うことは許せないという。
 狼藉を指揮した同氏は、PTの幹部党員だけでなく、ルーラ再選の政策原案立案者でもある。PT党内では最左翼に属し、暴力闘争の戦士である。ペルナンブッコ州で大地主の息子に生まれ、同州連邦大学工学部を卒業。技術者稼業には興味がなく、階級闘争に明け暮れた。軍政の六〇年代、左翼レジスタンスの英雄であった。
 党遍歴も多い。数々の転覆事件に参加し、南米各地を転々とした。チリではアジェンデ政権崩壊後、フランスへ亡命した。ブラジルへは一九七九年に帰国、PT創立に加わり、ペルナンブッコ支部長を務めた。しかし、夢見たPTは蛙の子ではなかった。
 下院ロジスチック担当者は、投石を頭部に受け頭蓋骨骨折で入院、集中治療室(UTI)に運びこまれたが重体である。狼藉の様子は全て録画されており、当局は顔写真で犯人を割り出す。議会周辺の緑地帯にはまだ、多数のMLSTメンバーがたむろしている。いつでも攻撃第二波を起こせる態勢にある。
 MLSTは五日夜、首都から一〇キロメートル離れた公園、シティに待機していた。ここで行動計画が練られたようだ。グループは首都で行うデモ行進のためにアラゴアス州やバイア州、ゴイアス州、マラニョン州、ミナス州、ペルナンブッコ州、トカンチンス州で参加者を募集し、編成した。
 各州支部は、バスの手配や食事の負担を課されている。ミナス・ジェライス州のグループは、労組や各都市の教会付属団体から七〇〇〇レアルの寄付をもらった。寄付金はほとんど食費になる。幼児も多数含む大部隊であり、旅行中は乾パンと水で過ごしたようだ。