ヴァリグ競売は空振り=1社が最低価格の半額提示=倒産の可能性一気に高まる
2006年6月10日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】二七億レアル以上の債務を抱えて経営が破綻したヴァリグ航空の最後の再健策となった会社身売りの入札が八日に行われたが、政府の意図とは裏腹に応札は一社のみにとどまった。
しかも応札価格は四億四九〇〇万ドル(約一〇億一〇〇〇万レアル)で、入札最低価格条件の八億六〇〇〇万ドルの半額に近い低価格が提示された。
応札したのは同航空グループの従業員が立ち上げたホールディングカンパニーのNV社で、期待されたほかの国内航空会社や外国資本は応札を見送った。NV社では資金源を明らかにしていないことで、従業員の間でも信ぴょう性を疑問視している。
落札か失格かの判断は、管財人でもあるリオデジャネイロ地裁が一両日中に決定するが、政府筋では入札条件に満たないことと、資金源が不透明なことから失格は免れず、故に再建のめどがもはや立たないとして、倒産の道しか残されていないと見る向きが大勢を占めている。
NV社の説明によると、二億八五〇〇万ドルは外国投資家が出資することで、応札時にその保証状を提出したという。さらに五億ドルは社債を発行して資金を集め、残り二億二五〇〇万ドルは従業員の積立金や融資金を当てるとしている。
これに対し関係筋は、当座の運転資金、空港管理局に未払いの空港使用税、ニューヨーク市地裁が定めた来月十三日までの航空機リース支払い期限などに対するプランが一切確立していない点を指摘している。
一方で、政府が期待していた競合相手の入札が皆無だったことについて、関係者は火中の栗を拾うより、ヴァリグの倒産を待ってシェアーの再分割を待ったほうが得策だとの思惑が動いたとみている。なかでも最大の原因はヴァリグの負債を引きずるのが大きな負担になると指摘している。
ピーレス国防相はこれまでの一年間、政府はやれるべき事はやったとして、倒産もやむを得ないとの認識を深めている。