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南バイアで活躍する=コチア青年――サンパウロ市から仲間訪問団――連載(下)=喜び、同船者との出会い=「あめりか丸」の7人予想外だった

2006年6月10日(土)

 「知っている方にも会えてとても懐かしかった。テイシェイラが大きな町だということを初めて知りました。この旅行に参加させていただいて最高の喜びを感じました」と述懐したのはサンパウロ州モジ・ダス・クルーゼス市で母親と暮らしている岡山県出身の田中さつきさん。一九五九年、十歳の時に両親に連れられて「あめりか丸」に乗り、バイア州のクビチェック植民地に到着した。第一陣五家族の中にいた、という。この植民地の現状は知らない。
 今回のコチア青年の南バイア交流団には「あめりか丸」同船者が四名参加した。幹事役の坂東博之(徳島県)、山下治(福井県)、三好英雄(岡山県)、それに田中さつきさんだ。訪問先に同船者三名がいることは、南バイアに到着するまで知らなかったようだ。「予想もしていなかった同船者に会えた。四十数年ぶりだよ。旅の冥利に尽きる」と喜びをかくしきれない表情の三好英雄さん。
 三名の同船者とは、梅田秀広さん、松井明義さん、中島義明さん。三名とも熊本県出身だ。テイシェイラで再会した七名のうち、五名はコチア青年移住者だ。「あめりか丸」は一九五九年四月十七日にサルバドールに寄った。クビチェック入植先発五家族が下船し、同二十三日にサントス港に着いた。
 去る四月二十三日、サンパウロ市にある宮城県人会館で、二十九回目の「あめりか丸」同船者会が行われた(本紙・四月二十六日報道)ほど、結束が強い。「ブラジル国内の親戚のような関係ですよ」と自認する坂東博之さん。移動中のバスの隣の席で白旗凉子さん(長野県)が言う。「私は六四年に花嫁移民できました。六人一緒でしたが、一人はベレンで下船し、もう一人はパラナ州に行きました。サンパウロ州に残っている四名は毎年会って親睦を深めています。姉妹のような存在ですよ」ともう一つの結束を披瀝した。
 大輪菊栽培の第一人者として知られる夫の信さん(二次六回、長野県)は今年、マレットゴルフの普及でパウリスタスポーツ賞を受賞した。曰く、「バスの旅は楽しいね。普段は聞くことができないような話を聞けるし、仲間意識も自然に強まるよ」。「あめりか丸」同船者の一人で、山本喜誉司賞も受賞しているコチア青年連絡協議会副会長の山下治さん(福井県)の手記には「四十七年ぶりに南バイアで活躍している仲間に会えて感激した。この地域におけるコチア青年の存在の大きさも実感することができた。三度もの歓迎会を催していただき、大変心強い思いを味わった。そして、現地の仲間の中に三名もの同船者がおり、我々七名の同船者がバイア州で集うことができ、思い出深い旅行となった」と記述されている。
 南バイアの仲間たちと絆を深めた交流団は、テイシェラよりちょっと北に足を延ばし、ブラジル発祥の地・ポルト・セグーロ(Porto Seguro)に立ち寄り、サンパウロへの帰路に就いた。(おわり、文中一部敬称略、渡辺忠通信員)

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