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中身伴わない財政黒字=選挙の年に増える支出=公共投資抑制で成長に悪影響

2006年6月13日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】二〇〇二年からルーラ大統領が政権を担う二〇〇五年までの三年間に、財政プライマリー黒字(金利支払いを含まず、単に収入から支出を差し引いたもの)は増加を見せたものの、単に数字の上のもので本質的に内容は惨たるものとなっている。
 専門アナリストが連邦行政関係統合システム(Siafi)のデータを基に指摘したもので、それによると増税などによる税収の増加に反し、公共投資をおざなりにし、かつ公務員の昇給を抑えてきたのが黒字の増加につながったとしている。これにより実のともなわない黒字は長続きしないとの見方を強めている。
 世銀が先週発表したリポートでもこの点が憂慮され、内容のない支出の削減が必要であると警告し、公共投資とくにインフラ整備の遅れは経済成長に悪影響を及ぼすと、決め付けている。
 今年は統一選挙の年であり、それに関連する支出が増加するとともに、四月に実施された最賃の調整と、先に発表した公務員の昇給で今年は黒字が大幅に減少するとみている。また選挙を視野に入れた貧困対策の出費がかさむことも要因となる。さらに雪だるま式に増えるに任せて一向に改善策を見出せない年金支払いも首をしめる要因になると指摘している。
 データによると、この三年間で財政プライマリー黒字はGDP対比二・九四%となっているものの、他の分野の支出の増加がとまらいため、実質的に黒字は三年間で〇・九三%しか増加していない。
 黒字に貢献したのは連邦税の二・〇四%増(GDP対比)の増収と、州や市(それぞれ〇・一二%と〇・一五%)の財政黒字だった。公共投資はマイナス〇・三八%、公務員給与はマイナス〇・五二%だった。
 いっぽうで黒字の減少要因は、失業保険や高齢者身障者の保険責負担が一・五%増、貧困手当が〇・二二%増、連邦政府の諸経費が〇・〇五%増、州や市の交付金などが〇・四六%増となった。

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