2006年6月14日(水)
「日本の美」と銘打ったフェスチバル・ド・ジャポン(USP主催)が、九日から十一日まで、リベイロン・プレットのUSPキャンパスで開催された。今年で第二回目となる。今年は初めてグアタパラ移住地が参加。メイン会場のホールでは、生け花、茶の湯、剣道、筝、盆踊りなどが次々に紹介され、駐車場には陶芸、和凧、日本食などの出店が並んだ。
「日本」をテーマにしたフェスタは各地で見られるようになったが、同地の日本祭りは、「本物の日本文化」を追求する姿勢を感じさせた。
九日五時から、ヒベロン・プレット市長、サンパウロ総領事夫妻らを迎えて茶会形式のイナグラソン。来賓に茶を運ぶのは、事前のワークショップで型から精神まで茶の湯の基本を学んだスタッフだ。
茶会の間、会場となったホールは厳粛な雰囲気で物音ひとつしない。フェスタのコーディネーター浦部和子さんの、「湯の沸く音、茶を立てる音が聞こえる本当の茶の湯」を理解してほしいというねらいからだ。生け花など、その後紹介された日本文化にはすべて詳しい解説がついた。
コーディネーターの人脈のおかげで、先生たちは各分野の第一人者ばかり。筝の演奏後には、舞台に上がった観客が、楽器を間近にして演奏者から直接楽器の構造や音の出し方の説明を受けた。
爪をつけ、実際に弦を弾いてみる人もあれば、独特の楽譜に興味津々の人もいる。客席は満杯とはいかないが、観客の熱心な姿勢には浦部さんも手応えを感じているという。
「今行われているフェスチは食が中心のお祭り。それはそれでよいが、日本文化のなかにはそのやり方では伝わらないものがある」。そう話す浦部さんが危惧するのは、日本文化のアトラクション化だという。お祭り騒ぎの中で、見世物のひとつとして消費されるだけではいけないという考えだ。
「どこかで本物にこだわらなければ、五十年後、ブラジル日系社会の日本文化はどうなっているかわからない」、そんな関係者の思いが感じられるフェスタだった。