2006年6月15日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・デ・サンパウロ紙十四日】ニューヨーク会社更生裁判所のドレイン裁判長は十三日、ヴァリグ航空の債務決済で仮処分の執行を二十一日まで延期する判定を下した。決済を迫られた債務は二〇〇五年六月期限のリース契約で、航空機とタービンが差し押さえの対象である。同裁判長はヴァリグ航空に米投資ファンドのオファーが入ったとの報告を受けた。リオデジャネイロ地裁第8法廷のアヨブ判事による競売の結果を待つための執行延期判定とされる。オファーの金額はヴァリグ・グループ従業員団(TGV)の応札価格とほぼ一致している。
ヴァリグ航空は二十一日まで航空機の差し押さえを免れた。ハイパーインフレに対する物価凍結令の犠牲といわれる同社の累積赤字が、同航空の命取りになったらしい。ニューヨーク会社更生裁のドレイン裁判長は、リオ地裁アヨブ判事の競売によるヴァリグ救済に呼応し、差し押さえ処分を保留としたようだ。
二十一日への決済期限延期要請は、米国ヴァリグの弁護人アントノフ氏がリオ地裁に新たなオファーが入るのを期待するように、時間稼ぎと思われる。ヴァリグ買収をオファーした米投資ファンドは、ヴァリグの運行継続を保証するために七五〇〇万ドルを支払う意向を表明した。同投資ファンドには、ブラジルの二企業も資本参加をしているという。
借金取りが門前に群れなすヴァリグ航空であるが、ドレイン裁判長の仮処分延期はアヨブ判事の競売落札に向けた努力に協力したことで、一縷の望みを託す蜘蛛の糸といえそうだ。ヴァリグのボチニ社長は、両裁判長がこれまでの実績を評価したもので、国内外の空便はやがて復活するとみている。
ヴァリグ買収で、さらに一社が名乗り出た。ヴァリグ・ログの元社長リーマ氏率いるSYNロジスチック社で、四億ドルの現金払いだという。このオファーは、ヴァリグ管財人のアヨブ判事が求めたTGVの説明期限である十四日に行われると市場関係者はみている。TGVも説明期限を、ドレイン判定と同じ二十一日に延期を要請するらしい。
ポルトガル航空(TAP)のオファーはTGVの返事待ちだとピント社長が述べた。TAPとコンソーシアムを組んでいる会社には、TGVと関係する企業もある。またヴァリグ航空の元経営陣は全員、外国で勤務中であり、ヴァリグ落札後の経営について話し合う機会がなかったという。
ヴァリグ航空が次々と欠航するのは、外国の空港で航空機を差し押さえられないよう逃げているからだという。特に差し押さえ示唆が集中する米国向けの便を控えている。国際線に就航する大型機二十五機が差し押さえ対象である。その中に日商岩井の二機もある。
ヴァリグ航空は、米裁判所の許可を得て、リース会社の手が及ばない代替機で、運行することを検討している。それも債務決済不可の場合、二十一日以後は国際線の就航が難しくなる。ヴァリグ航空は全部で六十機を運用しているが、差し押さえを免れるのは中型機四十二機のみである。