ホーム | 連載 | 2006年 | JICAボランティア リレーエッセイ=最前線から | JICA青年ボランティア リレーエッセイ=最前線から=連載(46)=岡本真樹=トカンチンス日伯文化協会(トカンチンス州)=トカンチンスのスター?!

JICA青年ボランティア リレーエッセイ=最前線から=連載(46)=岡本真樹=トカンチンス日伯文化協会(トカンチンス州)=トカンチンスのスター?!

2006年6月15日(木)

 ブラジルの北東部に位置するトカンチンス州は、州になってまだ十七年と新しい。
 ここに派遣が決まってから、色々なところで派遣先を告げると暑いだけで何もないところだと言われていた。確かに、私の住んでいる州都パルマスは、これから大きくなる街といった感じでまだ何もない印象。高層ビルはほとんどなく、空き地がたくさんある。
 町は緑が多くとても綺麗だ。山や川があり、治安もいい。気候はというと、雨季、乾季があり、年中暑い。八月は特に乾季の影響で一番暑くなる。
 この州に住んでいる日系人は他の州に比べるとかなり少ないだろう。一世の方はほとんどおらず、日本語を流暢に話せる人は少ない。混血の方が多いためか、街を歩くと、珍獣を見るかのようにジロジロ見られる。
 学校紹介のため、州の農業フェスタへ行ったとき、一緒に写真を撮ってと言われたり、サインを書いてと言われたり、まるでスター扱い。街では「すしとすしみって同じだよね」と聞かれ、「すしみじゃなく、さしみで…」と説明をすることもある。
 去年はここで初の盆踊り大会をした。宣伝をたくさんした甲斐もあって、多くの人々が訪れてくれた。お寿司、焼きそば、天ぷら、ぎょうざなどは完売。
 「炭坑節」「ドラえもん音頭」「東京音頭」「安里屋ユンタ」に合わせた盆踊りは、参加型だといくら説明しても、踊ったのは私たちだけ。
 しかし後日、柔術の試合の前に盆踊りをして欲しいとか、ブラジル学校で生徒に盆踊りを教えて欲しいと依頼があるなどの反響もあった。普段協会主催のイベントに参加していない人にも協力を頼み、多くの人たちと構想を練り、団結できたことが、成功につながったのだと思う。
 今年の盆踊りでは、屋台を出し、踊りのレパートリーを増やし、太鼓などで盛り上げたい。一人でも多くの方と交流をもち、一緒に踊りたい気持ちだ。
 私の任期はあと半年程となったが、多くの人と関わって、私の出来る範囲で日系人やブラジルの方々に「日本」を伝えていきたいと思う。
 ブラジル国内でもあまり知られていないこのトカンチンス州の宣伝をすることで、私の「ブラジル」を日本に伝えることができれば、と考えている。
   ◎   ◎
【職種】日本語教師
【出身地】奈良県北葛城郡【年齢】30歳