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中学生から母県と交流を=石川県人会=文化祭に2倍の来場者=来年70周年に向け活気

2006年6月15日(木)

 「鉄は熱いうちに打て」とばかりに、県費留学生の候補生を育てるための中学生レベルの青年交流事業を、石川県人会が今年度から始める。小堀勇ジェラルド会長は現在訪日中で、今件などを母県と打ち合わせしている。サンパウロ市パライゾ区にある同会館で、十日から始まった第七回文化祭には、例年の二倍、約百五十人が来場するなど来年の創立七十周年に向けて着々と活動を活発化させている。
 「子どもたちにぜひ雪も見てきてほしい」。そんな思いを、竹下康義相談役はこの事業に託している。小さいころに、郷土を身体で感じてもらい、そこから関心が生まれ、将来の県費留学生・研修生に育っていってくれればという期待をしている。
 中学生ぐらいの子ども五人程度を隔年で、日伯それぞれから派遣する形となる。今年度は来年一月ごろにブラジルから送る予定。二~三週間ていどの滞在中、母県の良いところを体験してもらう。翌年は日本からブラジルに来てもらい、相互交流を深める。日系コレジオの体験留学はあるが、県人会が中学生レベルの青年交流を行うのは珍しい。
 これは昨年四月に谷本正憲知事ら慶祝団が来伯して行われた開館十周年記念式で提言されたもの。高齢者の里帰り中心だったそれまでの交流から、若者を中心にした事業に変わった。
 同県人会の文化祭は十日から十三日まで開催。会館で行われている文化教養講座である陶芸、生け花、茶道、宝生流謡(うたい)、俳句、社交ダンスなどの成果を広く一般に披露する催しで、例年を大きく上回る来場者となった。
 一九九七年から行われている陶芸教室には、母県から講師が二回も派遣された。千二百七十度の高温で焼き、渋い色合いが特徴という。今回は生徒二十人の作品、約二百点が展示出品された。
 最初からの生徒、古田敏子さんは「色の出し方が難しい。八〇%以上は失敗。思ったとおりの色がでたときは本当にうれしい」と醍醐味をかたった。
 「焼き物は予想以上の売れ行きでした」と竹下相談役は喜ぶ。「これを機会に、県人以外の方ももっとご参加ください」と呼びかけた。
 会場には水彩画四十二点も飾られ、教えている画家の中島岩雄さんは「生徒の技量が毎年上がっている」と顔をほころばす。駐在員婦人が多いのが特徴で、ブラジル各地の観光地の風景画からバイアーナ、アララなど当地ならでは絵が多くみられた。
 来月二十二日にアラサツーバ市で開催される全伯相撲大会には、北国新聞(石川県)主催の全国高校相撲選手権大会から優秀選手十人や大会役員、石川県日伯協会ら合わせて三十人ほどの親善相撲団が来伯参加する予定。五年に一回行われており、今年も交流が大いに期待されている。
 来年の県人会創立七十周年には、通常は日本から来てもらうところを、逆に日本へ慶祝団を送ることを企画している。二世会長を中心に新しい動きも生まれ、活動に活気が出てきているようだ。