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コラム 樹海

 新聞社の近くに「あかべこ」というコ―ヒ―の店がある。日系の若いお嬢さん方がケーキなどをサ―ビスするところで人気もそれなりに高い。仕事に区切りがつくと一杯のコ―ヒ―を飲みに出掛けるのだが、お嬢さんらが素朴で粗い麦藁帽子をかぶり濃い青色の派手なTシャツでてきぱきと軽快に動く。そう―「ジュニナ祭り」の到来なのである▼聖体祭のミサもながら街中の路面を花で飾る「フロール・デ・タペッチ」の美しさは日本にはない。サン・ジョアンの焚き火もあるし、火を灯したバロンを打ち上げる夜景は風物詩のようなものだったけれども、今は火災を警戒して禁止されてしまった。田舎然とした服でケントンを呑みながら踊りまくるフエスタも楽しい▼遯生もブラジルに来た頃―イピランガのサンフランシスコ学園だったかに日本から持参の長靴を履き国防色の作業服を着て参加した。大きな鍋で煮るケントンの甘さにはびっくりもしたが―あの寒夜の祭りはなかなかに雰囲気がいい。確かシュラスキーニョの屋台らしきものもあり賑やかで故郷の夜祭りにそっくりだったと覚えている▼と、賑々しい6月なのに今年はコッパがあって賑やかさがすぎる。バ―ルに入ればサッカ―談義に花が咲き、ロナルジ―ニョの技に酔い痺れる。それでも、祭りは続く。今年もまたサンパウロ州奥地のピラポジニョでは火祭りが盛大に行われるだろうし、長さが20メ―トルもの樹木を四角に組んで50メ―トルの高さの大焚き火が寒空を焦すように燃え盛り人々の目を奪うに違いない。この豪快さが「祭り」の凄さで良さだ。   (遯)

06/06/17