日本移民九十八周年の慰霊祭が各地で行われている。「お久し振りです」と集まった人たち。先人たちの偉業を称えると共に、これまでの生活を振り返るのだろう。
生まれる以前の昔の歴史。厳粛な空気をどう受け止めていいのか戸惑っていたその時、「今の若い人たちは苦労を知らない」との言葉を聞いた。
ふと日本でのことを思い出した。
テレビで戦争直後の映像が流れていた終戦記念日。なんとなくしんみりとした雰囲気が覆う中で祖母が同じ言葉を言っていた。
「あんたは苦労をしてないからね。あんころは食べるものにも着るものにも困ったんだから」。
ブラジルで同じ感覚になるとは思ってなかった。どう返答すればいいのだろうか。苦労ってなんだ。もどかしい気持ちでいっぱいだった。
(稲)
06/06/20