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コラム 樹海

 自衛隊は真に奇妙な存在である。左翼からは「憲法違反」の罵声だけが届く。霞ヶ関の官僚らも「触らぬ神に祟りなし」とばかりに何となくそっけない。国民もまた「平和の敵」とまではいかないまでも、胡散臭そうな目で見る事が多い。そのくせ―地震や災害になると「力強い味方」に一変し仰々しく守り立てる。勲章にしても、陸将や海将・空将になっても勲一等はいない▼国の守りにつく兵士が、これでは余りにかわいそうではないか。特に制服組と呼ばれる兵らへの視線が冷たい。さながら継子扱いなのである。それでも近ごろは、暖かい眼差しで見つめるようになったし、東京などの大都市を制服姿で堂々と闊歩している隊員が多くなったのは喜ばしい。警察予備隊と呼ばれたときから50年を閲してやっと手にした社会的な評価である▼そんな不遇を背負って歩み続けた自衛隊に大きなプレゼントがある。小泉内閣が「防衛庁を「省」にする」という法案を国会に提出し、次の臨時国会で成立させたいとしている。早ければ年内にも晴れて「防衛省」になり「防衛大臣」が誕生する。首相は「庁であるのがおかしい」と語ったそうながら世界を見回しても国防省など「省」が普通で「庁」の呼び名は無い▼「省」になれば、予算要求や法案提出もと独り立ちができるようになる。額賀長官の言葉を借りれば「歴史的な一過程」となるが、この昇格を機にしてさらなる発展を遂げて欲しい。列島を取り巻く軍事情勢は中国の軍拡、北朝鮮のテポドンと厳しさを増している。自衛隊の本来の任務が問われるのはこれからなのである。 (遯)

 06/06/20