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ヴァリグ航空売却を承認=リオ地裁=落札契約履行条件に=23日までに7500万$積立=新会社、資金調達に奔走

2006年6月21日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】リオデジャネイロ地裁第八法廷のアヨブ判事は十九日、ヴァリグ航空をヴァリグ・グループ従業員団(TGV)へ条件付で売却することを承認した。TGVの代理新会社ノーヴァ・ヴァリグ航空が設立された。同社は落札条件の第一回支払分、七五〇〇万ドル(約一億六九〇〇万レアル)を二十三日までに積み立て、落札契約を履行しなければならない。TGVの法定代理人マルシラック氏は、スポンサー二社の資金協力を示唆した。しかし、TGV幹部は社会経済開発銀行(BNDES)へ、第一回支払分の借入金取り付けに奔走中である。
 従業員グループへのヴァリグ売却は決まったが、いよいよ乗るか反るかの正念場といえそうだ。落札は新ヴァリグによる購入価格が一〇億一〇〇〇万レアル、そのうち二億八五〇〇万レアルは現金決済。五億レアルは債務の肩代わり。TGVが頼りにするスポンサーの運転資金が少なく、アヨブ判事は、経営は至難の業とみている。
 落札条件の義務履行とともに、差し押さえ対象となっている航空機四十九機のうち十九機の返納で、TVGは旧経営陣と会合を行う。燃料を供給していたBR燃料配給会社は二十日、現金決済を要求し、燃料供給停止の可能性を通告。空港業務公社(Infraero)も検察庁へ、ヴァリグ航空の空港使用料の滞納を報告した。満身創痍の新ヴァリグ航空による門出である。
 二十三日までに七五〇〇万ドルを積み立てないと、落札は白紙に戻り、競売やり直しとなる。新ヴァリグ航空の背後に控える二社は、TGVが逆さ吊りにされても鼻血さえ出ないことを知らないらしい。アヨブ判事はTGVが画に描いた餅なのか疑問視している。
 落札の公示では第一回積み立てが官報公示から七十二時間以内となっており、二十二日が期限である。サッカーW杯ブラジル対日本観戦のため、二十三日まで猶予を与えた。新ヴァリグ航空の資金源不明を理由にアヨブ判事が応札決定を二回延期した経緯がある。同判事はスポンサー二社名と資金力について熟知している。新ヴァリグがいかに同資金を表に出すかが鍵だ。
 二十三日まで同資金の出所の説明がなければ、再度ヴァリグの破産宣告を通告し、次回競売までポルトガル航空(TAP)が臨時代替就航を行う。
 一方、国際リース(ILFC)は、ヴァリグが支払を滞納している航空機九機の返還をニューヨーク地裁へ申請した。要請に応じない場合、滞納金と罰金のほかに、ヴァリグ・ニューヨーク支店の責任者に対し身柄拘束を要求した。ILFCによれば、九機は賃貸料を払わず就航し、営業を継続しているという。
 しかし、米地裁の判決は、ヴァリグ航空機が米領土内に着陸した場合にのみ適用されることになっている。ヴァリグ航空機を差し押さえるためには、ブラジルの裁判所へ申請し、ブラジル本土に待機しているところを押収しなければならない。ブラジルの裁判所はこれまで、全ての差し押さえ申請を却下した。