2006年6月21日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】ブラジルの経済政策を評価した国際通貨基金(IMF)は、同国を世界の中でも欠点の少ない国の一つに挙げられると位置づけた。先月三十一日までに一八四カ国の経済状況を分析し、十九日に発表した。
それによると内外の債務の減少と外貨準備金の増加により短期的にマクロ経済の安定をもたらしていると賞賛した。いっぽうで長期的な経済成長を遂げるためには官僚主義の風潮を取り除くとともに、社会福祉制度の確立が不可欠だとの注文をつけた。
報告書の中で国内総生産(GDP)成長は、今年三・五%は達成するとして、昨年の二・三%を上回るとした。不況回復の兆しが見えており、さらなる成長の可能性を秘めていると指摘している。
IMFはマクロ経済に対する経済政策が的を得ているとの見方をしている。経常収支の黒字を維持することで外債を減少させたのが最大の原因で、輸出の拡大により過去二十五年間で最低の外債ポジションになったのは特等すべきだとしている。これにより外貨準備金は必要以上の余裕あるものとなっていると指摘している。
また長年の課題だったインフレを目標通り抑制したことで、金利引下げ気運に転じたことも経済成長につながっているとし、中銀のインフレ対策を評価した。
いっぽうで長期的な安定成長を維持するためには官僚主義からの脱却のほかに、公共支出の管理が肝要だと説いている。さらに野放しになっている金融市場にも政府が積極的に介入すべきだとした。
これにより市場を開放することで工業界などの生産拡大や投資が潤滑になるとの方向性を示している。さらに社会福祉制度を確立することで失業問題も改善され、貧富の格差が縮まり、消費経済も発展していくだろうとコメントしている。