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静岡県人会が署名開始=帰伯デカセギ問題=ブラジル内代理処罰に向け=母県でも大きく報道

2006年6月21日(水)

 【既報関連】帰伯逃亡デカセギ問題に関して、静岡県人会が一肌脱ぐことになった。十七日午後に同会館で行われた月例役員会で、日伯間の犯罪者引渡し条約締結や代理処罰制度を求める署名活動に協力を開始することが決まられ、まず役員ら十六人が先陣を切った。これは二十日付け静岡新聞でも大きく扱われるなど、母県でも反響を呼んでおり、交通事故で長女を失った湖西市の被害者の山岡理恵さんは「日本だけでは問題は解決しない。ブラジル国内での動きはありがたい」と同紙に感謝のコメントを寄せた。
 鈴木静馬会長は役員会で「母県でブラジル人がうまく共生していくためには、条約締結や代理処罰制度の確立が必要」と説明。「県人会として率先して取り組むべき問題」と署名活動の実施を提案した。出席した十六人から賛同をえて、その場で全員署名した。
 同県人会では二月の定期総会で、すでに署名などに協力していくことを決議していたが、同条約を締結してもブラジル憲法が自国民の他国政府への引渡しを禁じていたため、留保された状態になっていた。
 五月に伯日比較法学会が、帰伯逃亡したブラジル人を国内刑法で裁く代理処罰の手続きを迅速化、円滑化させる具体案の検討をはじめるなど、代理処罰への署名との意味合いが高まったのを受け、実際に署名活動の支援を始めることになった。
 理事の山本茂さんも「日本で罪を犯して逃げてくるなんて、移民が百年かけてブラジル社会から得てきた信用や誇りを台無しにする行為だ」と憤る。
 二世理事の松浦アントニオさんも「まったく無責任だと思う。私はブラジル生まれだが、日系人としてほっておけない問題だ。知り合いのブラジル人に署名をお願いするつもり」と語った。

日本祭りで署名活動も

 今後、同会館で行われるイベントや役員や会員の家族、親戚、ほかの所属団体などに呼びかける。さらに鈴木会長は、自身が副会長をする県連主催の日本祭り(七月)でも署名コーナーを設けることを働きかけたいと話している。
 集めた署名は七月末にも、湖西市の山岡夫妻に郵送する予定。
 日本ではすでに、静岡県の浜松、湖西市で起きた強殺事件や交通死亡事故の被害者三家族らが麻生太郎外務大臣に十六日に面談し、同条約締結や代理処罰制度を要請している。
 参院外交防衛委員会も十五日、同条約締結を求めて湖西市の山岡夫妻が参院に提出した請願を、全会一致で本会議に提出することを決めた。
 伯日比較法学会では、九月をめどに法案としてまとめ、渡部和夫理事長が訪日し、浜松市の北脇保之市長に手渡す予定という。