2006年6月22日(木)
弓場農場(コムニダーデ・ユバ協会=弓場常雄代表)とスタジウム・バレエ団(マリカ・ジダーリ、デシオ・オテロ代表)が実施する交流事業「ブラジルと日本の文化融合」の第一部となる、両バレエ団の公演が一七、十八の両日、ミランドーポリス市の農場で行なわれた。弓場という〝日本〟に触れたプロバレエ団のダンサーからは「こういった機会をもっと作るべき」という喜びの声も出るなど成功裡に終わった。
同交流事業は、日本移民九十八周年とミランドーポリス市制記念、弓場勇(農場創立者)生誕百周年を記念し、宮坂国人財団が助成、ミランドーポリス市と国際交流基金サンパウロ日本文化センターの後援でバレエ公演と貧困地域の子供にダンスや演劇を教える「プロジェクト・ジョアニーニャ」の二部からなる。
第一部目のバレエ公演は、農場内の劇場で行われ、十七日に弓場バレエ団、十八日にスタジウムバレエ団が発表した。弓場バレエ団は、輝かしき開拓者から始まり、ライジング、ダンスダンスダンス、華麗なワルツ、ソーラン節2005、オーバー・ザ・レインボー、フェスタ・ド・インテリオール、喜びの歌の八演目を公演。
スダジウム・バレエ団は、コイザ・ド・ブラジルと題した作品を発表。この作品は、ブラジルの特徴を大いに取り入れたダンスで二十七年間踊られ続けている。
農場では二日間、公演前に売店を用意した。鳥唐揚げ、おにぎり、天ぷらなどを始め、麺から作られた特製やきそばは大好評。「娘が以前にも食べて美味しかったと聞いて食べてます」というのはミランドーポリス市在住アントニオ・カルロス(47)さん。
会場となった劇場は、一九三五年に「祈ること、耕すこと、芸術する こと」をモットーとして弓場勇が創立者となり共同生活を始めた農場の中にある。
弓場バレエ団は六一年、今は亡き彫刻家の小原久雄氏と共に日本からやって来た明子さん(弓場バレエ団代表)が「自分に正直に自分の持てる力をここで試し、自分のやるべきことを精一杯やろう」と四十一年前から育ててきた。
今回の交流事業について「素晴らしいアイディアだったと思う。こういった機会をもっと作るべきだ」と公演後に話してくれたのはスダジウム・バレエ団のジュリアーナ・フォゲイロさん(32)。
同バレエ団の練習に参加した熊本早さん(弓場)は、「こんなチャンスを頂けるのは踊りを続けていたからこそ」と喜びを語ってくれた。
スタジウム・バレエ団のために開かれたお別れ会では、バレエ団代表のマリカ・ジダーリさんが「私たちが用意したもの以上のものをもらいました」と感謝の気持ちを述べた。
小原明子さんは「最初はこんな交流が行なわれるようになるとは想像もしていませんでした。いくら大変でも、何十年もみんなで努力して続けてきた賜物です」と今回のバレエ公演を通して生まれた交流を喜んだ。
来月二十一から二十三日には交流事業の第二部として「プロジェクト・ジョアニーニャ」が行なわれる。
このプロジェクトは、サンパウロ市内の貧困地域の子供たちに無料でダンスや演劇、音楽、カポエイラの指導し、規律や協力、衛生などの意識を高めてもらおうとスタジウムバレエ団が行なっている社会福祉活動。昨年に続き、弓場農場でジョアニーニャの子供たちとアリアンサ公立学校の生徒たちが交流する。