ここ十年ほどで日系カトリック界の重鎮が次々になくなった。セ大教区から日系教会として認知されていたサンゴンサーロ教会も九カ月前にブラジル人主任司祭が赴任し、広く一般を対象にしたものに変わった。土居理一神父からその話を聞き、感慨深いものをおぼえた。ひとつの時代が終わった感じがした▼ただし、今回の慰霊ミサはむしろ活気に溢れている印象を受けた。賛美歌が厳かに斉唱されるなか、初期移民の耕地での苦闘を想起させるカフェの枝、ラステーラ(くま手)、花や大根をのせたザルを高々と掲げもった日系子女が入場した時には、ほろっとした。何度も取材したがこんな演出は初めてだった。要は盛り上げる力量がリーダーにあるかだ▼ふと、ジュキア文協の非日系人会長のジウベウト・デ・ソウザ・オリヴェイラさんを思い出した。かつて日系妻とともにデカセギに行った。「今日の私があるのは日本のおかげ。NHKをみていると懐かしくて体が震えることも。ときどき、ひとりで涙を流しながらみているんです」という▼先週、日本カントリークラブで披露されたマツリダンスも興味深かった。マリンガ文協青年部が発明した踊りで、日本の最新流行曲に合わせて和太鼓を叩き盆踊りをする。JPOPに合わせて日系若者が踊り狂う姿に、どこか〃新しい〃という印象を覚えた▼七月にはサンパウロ市でYOSAKOIソーラン大会もある。コロニアの伝統的な声には「あれは日本の踊りじゃない」というものも聞く。だが、れっきとした日本発祥の芸能だ。日伯で誕生している「新日本文化」を期待を込めて見守りたい。(深)
06/06/22