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公務員給与調整は違法=選挙高裁が判断下す=政府猛反発、徹底対決へ

2006年6月23日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十二日】ルーラ大統領が先月三十日に大統領暫定令で公務員の給与調整を行ったことに対し、選挙高裁が選挙違反だとの判断を下したことに政府側が猛反発、再度司法と行政の対立が展開されている。
 選挙高裁によると、投票日の一八〇日以内に選挙民に対し不当な恩典や過度の利益をもたらす政令や行為は選挙法二二一二四条で禁止されており、今回の調整はそれに抵触するとしている。給与調整はインフレを上回ったもので、これが不当な恩典と判断され、発令期限が四月四日なのに対し、五月三十日になったのが違法だと指摘した。
 これにより選挙で影響や被害を受けると判断した立候補者や政党の当事者は提訴が可能だとしている。ただし判決は最高裁に委ねることになる。
 さらに高裁はルーラ大統領が再選に向けて出馬することは既成事実だとみており、最高裁の判決次第では、立候補剥奪の可能性もあることを示唆している。
 これに対し政府側は猛烈に反発し、あくまでも対決する姿勢を見せている。ルーラ大統領にとっては青天のへきれきで、急きょ関係者を召集して対策を協議した。
 国家弁護団によると、今回の暫定令二九五号は七省の公務員十六万人を対象とした一部に限るもので、能力給や役職手当が加味されており、高裁が指摘するインフレを上回る一般的調整とは体質が異なるとの見方をしている。二〇〇二年の選挙の時も同様の指摘があったが、結局政府側が勝訴しているとして大統領を安堵させた。
 しかしいっぽうで、大統領が引き続き一一〇万人の中央および地方公務員と六四万三〇〇〇人の軍人の昇給を認める暫定令を予定していたが、弁護団と高裁との審議結果が出るまで〝お預け〟となった。
 期待していた公務員らは年内調整もおぼつかないとの不安を見せて不満を表明している。とくに軍隊は四月四日までの期限内に昇給を促してきただけに、憤まんやるかたないといったところだ。ルーラ大統領はこれに対し、補正予算の国会承認が五月にずれ込んだのが原因だと釈明している。
 選挙高裁は先に連立候補に関する規制の判断を発表しながら翌日に撤回するという醜態を演じたばかりで、政府筋では今回の措置も大事に至らないと楽観視する向きが多い。

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